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海は甦る 全3巻 / 江藤淳

2016.07.01   CULTURE | BOOK

文芸春秋刊

 海の論理を貫いた海軍大臣山本権衛兵。ピースボートの図書館で見つけた長編だ。江藤淳と言えば私たちが幼少の頃からの大文学者だ。なんか今頃にしてこの文学者の本を読めるなんて光栄だ。ピースボートに乗って世界の海を見ながら江戸から明治時代~大正、昭和の四方が海に囲まれた小国日本に思いを馳せている。山本権兵衛の日本海軍の形成史だ。江戸時代の藩から国家に転換して行く時代を生きた権兵衛。海がなくては、近代国家として国際社会に生き続けられない事が明治政府にも解って来る。それをあえて成し遂げた権兵衛。そして第二部では三国干渉の時代から日清戦争、日露戦争を進む。極東の小国だった日本は海を背景に国家の自立を守る事が出来たと筆者は言い切る。第三部は明治天皇崩御から始まり大正初期まで続き、海の論理は陸(陸軍)の論理に負け、昭和に入ってから陸軍の暴走を招く事になる。いやはや疲れる本だが読み応えはある。是非読んでみては(平野悠)

 

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