葬儀社に勤めている海道航。彼は仕事と私生活が単調に続いている現状を変えたがっていた。夜な夜な単車に乗り込み、300km/hの景色を見る。それを見れば何かが決定的に変わると彼は信じていた。だが結果として痛みを感じただけで何も変わらなかった。目を覚ますと看護師に言われる。『三年間ここで眠っていた』と。目覚めた彼は“ある葬儀”を行う為、旅に出る。この漫画は所謂ロードムービーである。日本国内の話でありながらまるで異世界の不思議な“王国”を彼は旅するのだ。作画の竹谷州史はその独特の世界、雰囲気を見事な絵柄で描いている。原作の須田剛一の本業はゲーム開発者でもあり、クセの強いゲーム制作でコアなファンも多い。須田剛一が手がける初の漫画原作と言うことにも注目だ。葬儀社の一人としての海道が見る三年後の世界とは、生と死とは。果たして海道は生き急いだのか、死に急いだのか。是非読んでみてその世界を追体験してほしい。（ネイキッドロフト：立川陸生）