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夜明け前 上中下巻 / 島崎藤村

2016.05.02   CULTURE | BOOK

島崎藤村
青空文庫
※画像は岩波文庫版

 現在、ピースボート北回り106日の船旅の最中だ。この「夜明け前」を読み切るのに3年の歳月がかかった。何とも超長編だ。3年前の私は、同じく、この船で南極に行った。その時に青空文庫(著作権切れの本を大量に載せているサイト)の目録を見ながら「よし!この大長編小説を読破してみよう」と挑戦してみた。しかし、80%ぐらいは読んだのだが、ついに完結できなかった。日本に帰って来て、なんだかんだ置き去りにしてしまっていて、この航海10日目でやっと読み切った。この読書感というか充実感は半端でなくひしひしと胸に来る。物語はいわゆる「木曾路はすべて山の中である」という有名な出だしから始まるのはご存知に違いない。江戸から明治維新に時代が変わろうとし、木曽の山奥の街道沿いの庄屋・半蔵はインテリで村人の尊敬を集めている。半蔵は維新に思いを寄せ、そして明治維新政府に裏切られて行く。海も畑もほとんどない。ただただ広大な森があるだけの貧しい寒村の日常が淡々と描かれて行く。江戸から明治に変わる時代がこの木曽を通して描かれていく。さて挑戦してみる人はいるかな?きっと読み読み終わった後「自分にも読めるんだ!」と読書への造詣が深まるに違いないと思う。(平野悠)

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