なんか文学少年だった頃から、直木賞や芥川賞が決まると、いそいそと文芸春秋やオール読物を買ってしまう私がいる。最近は面白いと言うのがほとんどなくていつも斜め読みしながらスルーしてしまう。（火花は別）この著作のタイトル自体、読めないし意味も良く解らない。もう一方の受賞作「死んでいない者」（滝口悠生）はタイトルこそ面白そうだったが、つまらなくて途中で放り投げた。（失礼）それでこの難解なタイトルの著作を読みしかなくなって、読み始めるとこれが意外と面白い。純文学なんだ。ありふれた専業主婦の日常の生活目線で夫婦が同化して行く。数々の夫婦のエピソードを､混ぜながら全く違う個性の夫婦が、何もかも段々似てきてしまいなんか何が何だか解らなくなって行く平凡な夫婦の「妄想」であり「譚」であり脱力し、最後のオチは夫が芍薬に姿を変えてしまう。書評になっているかどうか解らないけど読み応えはある。（平野悠）