いやはや、日本の出版界の良心、岩波書店が頑張っている。「第一章・劇場化する社会」で一水会の鈴木邦男さんが三島由紀夫論(魂を失った未来への反乱)、最首悟さんが山本義隆論(自己否定を重ねて)「原発村の誕生と浜通り」木村守江さんが書いていて、手にとって読む気になった。帯には「高度成長の陰で築かれた犠牲の構造・・・浸潤して行く『日米体勢』抗いの声は現代を問う」とあって、なんともアカデミズム満載な学術書なのではないかと思ってしまう。第二章の「沖縄」は辺野古新軍事基地が問題になっていて第三章の「声を上げたひとびと」は水俣や障害者、大地を守る会、「原発村」の誕生と浜通り・・・と、今現実に日本で起こっている闘いの中からの記事なのだ。国内での「成長」と「運動」の激動の時代のひとびとの精神の闘争を、東京や沖縄、様々な地域からの視点で描き出して行く。なんともほとんど帯とプロローグからの引用になってしまったが、いざ、意を決して読むと意外と安易に読めるのだ。(平野悠)
















