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セシウムと少女

2015.05.07   CULTURE | MOVIE

才谷遼(監督)
ユジク阿佐ヶ谷、他順次公開中

『セシウムと少女』というタイトルを聞いて、福島の原発事故がテーマだということは想像したが、観てびっくり、私の予想を遥かに越える奇想天外な作品だった! 監督は映画館「ラピュタ阿佐ヶ谷」の経営者である才谷遼氏で、これが初監督作品。物語は阿佐ヶ谷に暮らす17歳の高校生ミミのひと夏の経験を軸に展開する。ある日、雷神のらーさんと偶然出会ったミミちゃんは、7人の神様と一緒に、おばあちゃんの九官鳥を探すためタイムスリップの旅に出る。そこで若き日のおばあちゃんや詩人の北原白秋に出会うというちょっと不思議な冒険譚。コマ撮りやアニメーションを駆使した映像は美しく幻影的でもある。もちろん監督の制作動機は、あの原発事故により広範な土地が放射能汚染されたにも拘わらず、事故を引き起こした当事者が全く責任を取らないことへの激しい憤りだろう。監督の社会への怒りと映画への愛情が奇跡的に融合した、思いの溢れる作品だ。(加藤梅造)

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