北朝鮮の音楽は、皆さんご想像どおり基本的にプロパガンダ一色だ。しかしそれが宿敵日本の軍歌、アメリカの映画「サウンド・オブ・ミュージック」80年代のYMOの曲をはじめとするテクノ・ポップやユーロビート等、あらゆるジャンルの音楽に深く影響を受けて作り出されたものであるという事を知っているだろうか。この本は「K-POP vs NK-POP」というネイキッドロフトのイベントで出会った二人が、そんな世にも不思議な北朝鮮のポップス、つまり「NK-POP」にだけ焦点を当て、書き上げたものである。この本の発端になったイベントの勝敗の行方が北朝鮮にまで伝わっているというから驚きだ。本の内容はまるで二人のトークライブのように対話形式で構成されていて読みやすいし、紹介されている「北朝鮮ポップス」の全てがユーチューブで聞けるようになっているのも有難い。本の帯に書いてある「ワールドミュージック、最後のフロンティア」というキャッチコピーも納得の1冊である。(小柳元)