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シークレット・レース

2014.07.01   CULTURE | BOOK

小学館文庫 / 957yen

 ブラジルW杯にウィンブルドン、寝不足や時差ボケになっている人も多いだろう。筆者の場合はさらに深刻だ。そこにツールドフランスが加わるのだから! 世界最大の自転車レースと言われるツールドフランス、それをガンを克服し前人未到の7連覇を遂げたR・アームストロング。彼がドーピング疑惑でタイトル剥奪されたのは記憶にも新しい所だが、彼の右腕として活躍したタイラー・ハミルトンが薬物汚染の実態を告発した本である。1か月毎日のように数百キロを走るなどあまりにも過酷な自転車競技の内容、メーカーなどからの「勝たなければならない」プレッシャー…。将来を嘱望された選手が薬物に手を出さざるを得なくなる過程を克明に綴っており、単なる犯罪暴露や薬物汚染を告発しただけの懺悔にはとどまらぬ、競技スポーツ全般に通底する闇を描いた本になっている(本書では他のスポーツ、サッカーなどの薬物汚染もほの見えるのが気になる所だ)。自転車競技を知らない人にもお薦めできる本だ。(多田遠志)

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