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ハンナ・アーレント

2014.04.03   CULTURE | MOVIE

公開中

 20世紀を代表する女性哲学者であり、ナチスドイツに殺されかけた経験を持つユダヤ人でもあるハンナ・アーレント。今作品はそんな彼女が、何百万人ものユダヤ人を収容所へ移送したナチス戦犯、アドルフアイヒマンの裁判に立ち会い、ニューヨーカー誌にレポートを発表した実話を基にしたフィクションである。フィクションではあるのだがアイヒマンの裁判の所は実際の記録映像が使われている。防護のため、ガラスのついたての中に入れられ、検事に激しく責任を問われ、禿頭をポリポリ掻きながら「上司に言われたからやりました」と言い訳するアイヒマンはもう哀しい位に普通のオッサンだ。劇中のハンナアーレントもその頼りなさに思わず笑ってしまっている。だが、この何気ないワンシーンはこの映画にとってとても重要で、コメディと大惨事というのは紙一重だという事を思い知らされる。色々な見方の出来る映画だが、笑いについて考えたい人にも一見の価値ある作品だ。(小柳元)

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