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トップレビュー誰も懲りない/中村珍

誰も懲りない/中村珍

2014.04.03   CULTURE | BOOK

太田出版 / 1,000yen

 中村珍3冊連続刊行記念フェア「ナカムラ春のチン祭り!」の第二弾として発売された『誰も懲りない』。クイックジャパンにて連載されていた話題作の単行本化だ。一話二十ページ弱の作品なのだが、その二十ページ弱のなかに凝縮された嫌悪感や葛藤や絶望が、めちゃくちゃに入り混じり全十話を通して加速し、読み手に形容し難い感情を覚えさせる。読み進めるのも苦しく、次のページに希望を託してめくっては落とされる。それは決して軽くなく浅くないところまで、一度読み終えてからまた読み返すことを躊躇うほど最後まで、深みへ落とされる全十話。そして、最後に収録された描き下ろしで、嫌というほど思い知らされるのだ、愛の重さを。愛の前では誰も懲りることができない。「人にはそれぞれ自分用に仕上がったものさしがあって誰の人生を測るときもきっとそのものさしを使うんです」きっと、この作品を読んだ人は少なからずものさしの目盛りがかわるはず。(阿佐ヶ谷ロフトA:田中萌)

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