美人過ぎる市議だが居住実態なくトイレは「流しません!」など珍妙な問答で騒がれた立川明日香本、実は重い。「明日ママ」で注目の児童養護施設。本書は彼女自身18年過ごしたその過酷な実態、里親制度を周知したいという強い思いが詰まっている。騒動より半年前の本だがベビーベッドに固定された哺乳瓶から乳児が自ら飲む環境、次々周りが「貰われる」のに18まで取り残される絶望…明日ママは本当に実在の「ポスト」を使わなければそう的外れでなかった…。山地悠紀夫本の硬派、小川善照氏(実はプラスワンで開かれていたライター養成講座出身)新刊でもある。ただ一筋縄ではいかぬ彼女に関係者翻弄されまくり驚愕ジェットコースターノンフィクションという新たな地平。何度もずっこけさせられ最終的に「瞬間凍結」まで至る生真面目な小川氏の頑張りに本当に頭が下がる…個人的には小川氏経歴さりげに「佐野眞一『あんぽん』取材担当」とあるのも凍結した。(尾崎未央)