ツタヤやゲオに席巻される前のレンタルビデオ業界はうさん臭いものだった。どこかで聞いたようなタイトルのパクリ映画や女性の裸を全面に押し出したビジュアルの毒々しいジャケットが並び、借りる方も騙される事が日常茶飯事であった。レンタルビデオを借りると言う行為自体がいかがわしい風俗に足を踏み入れるような「冒険」だった。そんな時代にビデオ屋の隅で妖しげな光を放っていた「悪趣味ビデオ」を紹介する第２弾がこの本である。『首だけ女の恐怖』や『SF・SEX／異星人のえじき』等の聞いた事もないようなビデオ群に読者は呆れ圧倒される筈である。DVDにならなかったこれらの中にも、キラリと光る物は存在している。皆が見る作品しか棚に並ばず見ようとしない、そんな多数決口コミ文化の横行する今こそ、このような本が必要とされているのだ。（多田遠志）

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