私が阿佐ヶ谷ロフトAに勤めるようになってから、このブックレビューを何度か担当したが、こんなに纏めるのが難しい本は今までなかった。西荻で古本屋を営んでいる広瀬洋一さんの「西荻窪の古本屋さん」。そのままのタイトルの一冊だ。とにかく言いたいことが多すぎる。西荻窪という街のサイズ感、古本を扱うということ、人との出会い、お店のこと、家族の話、本そのものについて。どこから手をつけていいかわからないほど一杯の「好き」が溢れ出してくる。またそれら全てがあんまりに純粋で真っ直ぐだから、私は「この本を紹介する」ということを半ば諦めてしまって途方に暮れたのだった。しかし、それは本を愛するということと、とても似通っているのではないか？　点と点を結ぶように、一見ばらばらに存在する事象を拾い集める行為。それが読書だと私は考える。本に関わることを愛する全ての人に読んでもらいたい一冊である。（Asagaya Loft/A：足立結香）