最近話題の『パシフィック・リム』だが、個人的には近年まれに見る「取りあえず何の文句もない映画」であった。レーザーとかの安易な光線に頼らない純粋なドデカいロボと凶悪怪獣の「取っ組み合い」、余計な説明的な要素の一切ないストーリー。監督のギレルモ・デル・トロはクトゥルフ神話『狂気の山脈より』の映画化を目論んでいるとの噂だが、邪神を想起させる『KAIJYU』のデザインもよかった。なによりパイロットの鬱屈や恋愛とかではなく、純粋に怪獣モノを楽しんでいた小学生の頃の精神年齢、第二次性徴前的な作りに徹している辺りが本作を輝かせているだろう。特撮やアニメなど、多くのロボ物に馴染んできた日本人の為に作られたような作品だ。このジャンルに興味ない人でも、本作は楽しめるはずだ。デップやブラピなど有名俳優が出ていないと映画が当たらない日本だが、その真逆を行く本作のような映画こそ、ヒットしてほしい。（多田遠志）
