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血盟団事件/中島岳志

2013.09.04   CULTURE | BOOK

文藝春秋
2,100yen

 ワーキングプア、格差社会、高学歴でも心が虚しい…正に現代の如き自分探しに悩む若者を独自の日蓮宗系論理で魅了し「一人一殺」テロへと導き五・一五、二・二六の昭和初期革命の発端となった日盟団事件。首謀者井上日召は意外に若者の熱気に押され持論を変える面もあり人間臭い、そこが却ってカリスマたる所以か。
 著者が2011年の中曽根康弘にインタビューする場面に驚愕、連座した若者は後に細川護煕辺りまで政界フィクサーだった。昭和は長く、しかしそのまま現在に繋がっている。天皇と大衆の直結図る極右でありつつ万民平等を願うのは極左的でもある。意識的にか背表紙の「血盟団事件」の文字は超右寄りに印刷されているが。
 事件の拠点大洗はよく遊びに行った場所なのであの松林で射撃練習か…と脳内巡礼。団の若者は悩むと海水浴しまくるのも身近に感じた。ちなみに「ミイラでも体温が0度でないから死んでない、これ定説」のライフスペースが最後逮捕されたのも大洗。ガルパンでにぎわう海の街は何かカルトを引き寄せる磁場があるのか…(尾崎未央)

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