昨年3月29日から現在まで、首相官邸前を中心にほぼ毎週金曜日の夜に開催されている抗議行動。「原発再稼働反対」というただ１つの要求をするこの抗議は当初300人程から始まったが、ツイッターなどの口コミで徐々に参加者を増やし、野田首相（当時）が大飯原発の再稼働を決めた6月にはついに20万人もの市民が集まった。日本では60年安保以来の民衆運動で、世界的には「アラブの春」や「ウォール街占拠」と同時期の現象である「金曜官邸前抗議」だが、明確な組織もリーダーもいないこの運動を、主催者の一人である野間易通氏が多くの関係者や参加者への取材を通してまとめたのが本書である。非暴力よりさらにおとなしいと言われる官邸前抗議だが、そこには、あれだけの大事故を起こしながら安易に原発を再稼働する日本政府に対し、名もなき無数の民衆の激しい怒りが根底にあることが本書からも伝わってくるだろう。この現在進行形の歴史を是非知って欲しいと思う。（加藤梅造）

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