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盆踊り 乱交の民俗学/下川耿史

2012.12.05   CULTURE | BOOK

作品社 / 2,100yen

 何とも素敵なタイトルだが中身もさらに素敵だ。決しておふざけではなく、民俗学の抽象化の積み重ねによる性の埋没化の問題を真正面から取り上げた一冊。まず五世紀頃には定着したとされる「歌垣」から始まり宮中に移入された「踏歌」などと枝分かれして出来た「雑魚寝」と若者組たちによる「夜這い」、中でも1200年頃の大原の雑魚寝は「天下の奇祭」として天皇の耳にまで達したという伝説を持つ。そんな中、宗教的エクスタシーも生まれ始め「踊り念仏」なるものも誕生。十三世紀後半の日本中を震撼させた人物、一遍上人が創始者であり、一遍の死後は「念仏踊り」へと変化してゆき現代の盆踊りへと繋がってゆく。一貫して性の自由を謳歌しようとするご先祖様のエピソードを垣間見て、形を変えながらも色々と現代に当てはまるところがあったりと、何ともリアルで香しいかほりがしそうな書物であった。「百年の 姥らも小町 おどり哉」(阿佐ヶ谷ロフトA:大石一裕)

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