なんともトンデモな本が出版されていた。しかし、テレビ脚本家で大の龍馬ファンと自称する著者は真面目そのもので、この難題に立ち向かっているのが伺える。日本史上最大の英雄、日本人が最も愛していた坂本龍馬が存在していなかったと言う。好奇心もあって読み進んでみた。著者は文献を丹念に読み込み、調べた形跡がちゃんとあるのがうれしい。明治維新が好きな私が読んでも意外と知らない文献や名前が沢山出てくる。今年の９月発売で増刷というから多くの読者から支持されているのかも知れない。著者は作家としての知名度がないためか本書を出版するために数多くの出版社を回り、ほとんどの会社から断られたそうだが、何とか日の目を見ることができたのはよかった。司馬遼太郎さんが聞いたら怒るかも知れないな。（平野悠）

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