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トップレビュー狼の口 ヴォルフスムント 4/久慈光久

狼の口 ヴォルフスムント 4/久慈光久

2012.10.09   CULTURE | BOOK

エンターブレイン / 651yen

 中世のアルプス山脈。オーストリア公ハプスブルク家によってウーリ、シュヴァイツ、ウンターヴァルデン二準邦の森林同盟三邦(後のスイス連邦)は占領され、圧政が敷かれてしまう。ハプスブルク家は三邦とイタリアなど他国の境である峠を、地元の者を外に出さず、密行者は生かしてはおかない堅牢な関所とした。この関所を、人々は恐怖と憎しみを込めて「狼の口(ヴォルフスムント)』と呼んだ…。 本作『狼の口』の物語の熱さは近年まれに見るものだ。独立に燃える闘士達にはそれぞれの物語や夢、思いがある事を丹念に描き、それが恐怖の関所で脆くも潰える…。様々な剣術の達人達が凄惨な拷問などで死を遂げる様は山田風太郎の忍法帳シリーズに通ずる。何より人気の為の安易なキャラ延命処置などない。どんな魅力的なキャラも死ぬときはあっさりと死ぬ。キャラより物語重視。「ベルセルク」「シグルイ」を超える残酷時代ものとして、今一番続きが気になる作品である。(多田遠志)

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