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名画と読む イエス・キリストの物語/中野京子

2012.09.06   CULTURE | BOOK

大和書房 / 1,680yen(tax in)

 オレはそれを、<絵画の見方がわかる本>—『受胎告知』から『最後の審判』まで、と呼ぶね。思わず町山智浩アニキの名著を文字ってしまうほど素晴らしい評論を書いているのは、西洋文化史のエキスパート・中野先生。『怖い絵』シリーズでは名画たちの隠された意図や歴史的背景、いわゆるサブテキストを考察しながら絵の真意を解き明かしてくれました。今回のテーマは「イエス・キリストの物語」。イエスの生涯を追うことで、数々の宗教画に込められた意味やストーリーを読み解いていく。さすが何度も映画になっているだけあって、イエスの物語はかなりドラマティック。「鶏が泣く前におまえは3度わたしを知らないと言うだろう」という予言どおりにイエスを裏切ってしまう使途ペテロの描かれた『聖ペテロの否認』はかなり切ない。読み心地はもはや三人称小説、それも挿絵は実在の名画。本書を読めば、パゾリーニの『奇蹟の丘』やメルギブの『パッション』を3倍くらいは楽しめると思うよ。(阿佐ヶ谷ロフトA:森下雄太)

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