在特会という存在をご存知だろうか？　既存の保守や右翼の流れとは全く違う「ネット」上で生まれた在特会は「行動する保守」とも呼ばれ、過激な街宣活動を特徴としている。彼らが集団で行う「ゴキブリ在日朝鮮人どもを日本から叩き出せ!!」といった聞くに堪えない人種差別的なヘイトスピーチに多くの人は嫌悪感を示すが、これまで彼らをまともに取材したジャーナリストはほとんどいなかった。本書の著者・安田浩一が、今まで誰も直視しなかったこの団体を取材した最大の理由、それは在特会が奇異なものではなく、私達の社会の暗部として（つまり一部として）存在していると感じたからだ。現に安田が取材した個々のメンバーの大半は大人しい、ごく普通の若者だった。安田は言う。「在特会とは何者かと聞かれることが多い。そのたびに、私はこう答える。あなたの隣人ですよ──。」（加藤梅造）