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トップレビューだからテレビに嫌われる / 堀江貴文、上杉隆

だからテレビに嫌われる / 堀江貴文、上杉隆

2011.10.07   CULTURE | BOOK

大和書房 / 1,365yen

 結局の所、テレビが衰退した理由について、上杉氏は巻末のあとがき(という名の次回予告)にて、「テレビ自身が自らの未来を直視しようとしなかった結果に他ならない」と記している。いつからなのだろうか? 視聴料を払う必要がない民放テレビ局は、コンテンツの内容的「理想」よりも、スポンサーからの広告収入が全てであり、ニュース番組でさえ「視聴率」を重視する。民放局の「既得権益」に絡む問題(記者クラブ、官房機密費、クロスオーナーシップ、等)も、テレビでは「放送禁止用語」であり、その問題に触れた途端、上杉氏のように番組を降板させられる。また、第四章の「世にもおいしい放送利権」では、アナログハイビジョンの失敗のため、その損害を補填するために、「当時の郵政省が430兆円の景気対策の一環として地デジ構想をぶち上げた」とし、「地デジは科学技術ではなくて政治的利権そのもの」と両氏は指摘する。このまま民放テレビは利権を蝕みつつ、「視聴者の思考を停止させ、喧噪のみを流す無用の長物」となってしまうのだろうか? もしあの時、ホリエモンがフジテレビを買収していたら、今頃テレビはどのように変わっていたのだろうか? そう思わずにはいられない一冊である。是非ご一読を。(石崎典夫)

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