酒の飲み過ぎでアルコール依存症に陥りならがも死ぬまで酒をやめなかった赤塚不二夫。タモリをデビューさせたエピソード等、酒の席での逸話はいくつもの伝説となっているが、そんな赤塚の「酒とバカの哲学」を、生前出版された『赤塚不二夫のハチャメチャ哲学』『男の哲学』を再編集してまとめたのが本書だ。「どうして若者たちは、自分だけのカラにとじこもりたがるのだろうか。友だちをたくさんつくって、仲間と酒を飲んで、バカをやっていれば、将来大成できる」という赤塚の人生は本当に楽しそうだ。酒の席でSMショーをやったり、女装したりとハメを外しながらも、時には映画の話や人生相談もする。「志をもってバカをやれ」「人の悪口を言わない、女も口説かない、自分の自慢もしない」との言葉通り赤塚の酒飲みには美学があり、彼が誰よりも人に気を遣う人だということがわかる。読後、じんわりと腑にしみわたる良書だ。(加藤梅造)