【こういうのはもっとあってもいいと思う実録震災マンガ】
　震災からほぼ５ヶ月が経つが、当然未曾有の大災害、関連書物もかなりの数、今でも刊行され続けている。分析本からサバイバル本、各新聞社のグラフ誌、果ては被災地の地方新聞の、震災当日からの新聞縮刷版。正直追っているこちらが財政危機に陥りそうなくらい刊行されている。そんな中リリースされたこの本、被災地取材に向かう週刊朝日記者藤岡を主人公にした東日本大震災アンソロジー漫画である。話ごとに漫画家が変わるこのスタイルは、明らかに実話怪談漫画のパターンを踏襲している。被災した人々の視点で、この手にありがちな「九死に一生」モノではなく、起こった惨事をきちんと扱っている姿勢には好感を持った。震災時福島原発で勤務していた青年の壮絶なホームレス生活は必読である。（多田遠志）

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