森見登美彦さん、といえばその幾多の作品のほとんどで舞台として登場し、眩い存在感を放つ古の都、京都である。それが森見さんの作品の醸し出す独特の雰囲気に一役買っているのはいうまでもなく、その舞台を思う存分歩いてみたい、というのは読者共通の願いであろう。そんな願いを叶えてくれる夢のような本がついに発売された。鴨川デルタや下鴨神社といった、作中に出てくる選りすぐりのスポットがその登場シーンと共に紹介されており、まさに読者を森見ワールドへと誘う指南書のような本である。今日マチ子さんの描き下ろし画とオリジナルの何とも可愛らしい京都マップが楽しめるこの本は、森見さんの作品を読んだこともない方がその世界観を覗いてみるのにもきっとぴったり。これを読んで一頻り京都に思いを馳せた後は、この本を片手に電気ブランを飲みながら、京都の街をそぞろ歩きしてみては。(阿佐ヶ谷ロフトA 轟木)