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トップレビュー1993年の女子プロレス / 柳澤健

1993年の女子プロレス / 柳澤健

2011.07.06   CULTURE | BOOK

双葉社 / 1,995yen

 ビューティペア、クラッシュギャルズという華やかなスターが去り「戦う宝塚」路線では客が入らなくなった女子プロレスがいかにして最盛期、1993年を迎えるに至ったか、という経緯・・・はもちろんなのですが、この本を読み終えてから印象に残るのは「いかに全女という団体、集団が狂っていたか」ということ。10代半ばから道場→バス→リングのみの生活。年間250試合に加え男、酒、タバコの3禁や25歳定年制などストイックにもほどがある生活に裏打ちされた、過剰すぎる責任感、リングのみにかけざるを得ないプライドに端を発する話ばかり。選手のサイクルが早いゆえの「おまえじゃなくてもいいんだから」という空気感が漂い、自分のポジションを守るために、試合で若手を意図的に怪我させていたという信じられない話も飛び出します。この本に多く登場するキーワード、「押さえ込み」という全女特有のいわゆるシュートマッチが、タイトルマッチにおいても行われていたという事実もビックリですが、急にボクシング的ルールのグローブマッチをさせたりする松永一家の<ホントはプロレスにあんまり思い入れない感じ>からするとなんとなく納得、だったりします。(サイトウワタル)

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