震災直後の4月に上梓されたジャーナリスト吉岡逸夫さんによる著書である。昨年大いに議論され、クジラ・イルカの捕鯨による内外からの猛バッシングにさらされた太地町の取材を続け、「ザ・コーブ」のオバリー氏へのインタビューや、シーシェパード幹部スコット・ウエスト氏へのインタビュー、クジラ漁のさかんなデンマークのフェロー諸島への現地取材など、これでもかというほどの綿密な取材のもとに書かれていて、捕鯨の歴史から、「本当にクジラを食べるのは悪なのか」ということを取材者の「生の声」により解明してくれている。分析本ではなく、吉岡さんの取材旅行記になっていて、考えさせられながらも追体験としてサクサク読める。あなたが「かわいそうだ」とか、「絶滅危惧種だ」とか、「人間と同じくらい賢いから殺してはいけない」という価値観だとしても、読めば全貌が解ります。（阿佐ヶ谷ロフトＡ店長：奥野テツオ）

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