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仙台学 vol.11 東日本大震災

2011.06.06   CULTURE | BOOK

荒蝦夷 / 1000yen

 執筆陣の顔ぶれ、掲載写真、文章の余りに荒削りだが心揺さぶる生々しさに心臓を鷲掴みにされた。版元の「荒蝦夷」は仙台市に拠点を置く地方小出版社、実話怪談好きには「幽」編集長・東雅夫と「みちのく怪談プロジェクト」を旗揚げした版元として知られている。3.11により壊滅的な被害を受けたが、代表の土方正志氏は直後に東に電話を入れ「みちのく怪談、今年もやりましょう!テーマは......鎮魂で。ちくしょう、やってやるぜ!」と宣言。その後、事業所を山形に移し刊行されたのがモノクロ72頁だが鬼気迫る寄稿と写真に満ちた本書。打ちのめされうまく文章がまとまらないと述懐したり、食糧と異なり本や映画を欲する被災者がいない事実に打ちのめされる著名作家ら。「復興」という主に東京方面で軽々しく使われる言葉に強い違和感を表明する人々。寄稿は主に震災後1か月の時点で集められたもののようで、本当にどの文章も血の出るような思いがぶつけられている。今は復興への途上ではない。災害の真っ只中なのだ。まずは「知ること」。本書はアマゾンにないが紀伊国屋web等でも入手できる。(尾崎未央)

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