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トップレビュー出版大崩壊 / 山田順

出版大崩壊 / 山田順

2011.05.06   CULTURE | BOOK

文藝春秋 / 840yen

 昨年は「電子書籍元年」と大いに騒がれたが、実際の所(少なくとも日本においては)さほど普及しているとはいい難い状況だ。一方、出版不況はどんどん進行し、もはや歯止めがきかない状況ともいえる。そんな先行き不透明な出版状況の中、その名も「出版大崩壊 電子書籍の罠」というなんとも刺激的なタイトルの本が登場した。著者の山田順氏は大手出版社である光文社に34年間勤め、「女性自身」や「カッパ・ブックス」など時代を代表する雑誌、本を作り続け、退社後は、電子出版ビジネスも手がけたというベテラン中のベテラン編集者。その山田氏が「電子出版がつくる未来は幻想にすぎず、既存メディアのクビを絞めるだけだと思うようになった。」という動機で書かれたのが本書なのだ。本や雑誌好きにとっては暗澹たる気持ちになるが、現実は現実として受け止め、文化としての本をどう活性化していくかを真剣に考えるための重要な一冊だ。(加藤梅造)

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