雨宮処凜の代表作の1つであり、自己責任の名の下に若者を使い捨てる国や社会や企業に対して宣戦布告した『生きさせろ! 難民化する若者たち』が出版されたのが2007年。その後、「ワーキングプア」「ネットカフェ難民」は社会問題となり、2008年末に「年越し派遣村」が出現した時には、多くのメディアが連日大きく報道するなど国家規模の問題として認識されるに至った。それは「この国には長らく『存在しない』と思われていた『貧困』を可視化する」現象だった。そして2010年。雨宮氏は「新たな壁」を感じていると言う。それは「貧困ブームの消費」。一向に解決しない貧困問題に対して人々が慣れ、諦めてしまっている状態だ。この状況を打破するために彼女がとった行動は「タダか、限りなくタダに近い額で社会・世界を変えようとしている」人達に今を生きのびる方法を聞いてみる、というシンプルな方法だった。本書に登場する8人の生き方はきっと多くの人に希望を与えるはずだ。(加藤梅造)
生きのびろ! 生きづらい世界を変える8人のやり方 / 雨宮処凜
2011.01.11 CULTURE | BOOK