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東京ポッド許可局

2010.11.01   CULTURE | BOOK

マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオ、みち (新書館)1890円

文系芸人が行間を、裏を、未来を読む
屁理屈エンターテイメント、待望の書籍化

 マキタスポーツ、プチ鹿島、サンキュータツオらの「局員」たちと、謎の「局長」みちが、政治、経済、社会全般のマクロな話から、好きなお菓子は何か、ガムの“おすそわけ”がどうしてもできない、などミクロな話までを論じ合う、スタートから2年余りでリスナー登録者数15万人を超えた人気ポッドキャスト番組「東京ポッド許可局」が遂に単行本化された。特筆すべきは、お笑い芸人が「お笑い」を批評している点にある(「すべらない話」論、「矢沢永吉:ビートたけし=長渕剛:片岡鶴太郎」論など)。ヘタしたら自分で自分の首を絞めかねない行為にも関わらず、視点の鋭さと巧みな言葉遊びで、批評を見事「話芸」として昇華させている。例えば本書の中に出てくる「手数論」はその最たる例だろう。やすし・きよし、ツービートなどが全盛であった頃の「漫才」と、今のM-1世代の「漫才」とでは何が違うのか?という問いに、タツオ局員は、ネタ中に何回笑わせたかという回数(=手数)の違いを見つけ出し、世代やコンビ、スタイルによって手数の違いを1組ずつはじき出し、では手数を最も入れやすい漫才のスタイルは何かを考え、引き続き分析・研究を続けているという(ちなみに「やすきよ」は20秒に1回の手数に対し、「NON STYLE」は6〜7秒に1回だとか)。「おもしろい」だけではなく、「おもしろい」の先にある「何か」を思考し提示する、「批評×話芸」な一冊。皆さんも是非、ご一読してみては?(LOFT/PLUS ONE:石崎)
 

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