Rooftop ルーフトップ

REVIEW

トップレビュー映画『オードリー・ヘプバーン』- スクリーンの妖精にして永遠のファッション・アイコン、その知られざる姿を描いた初のドキュメンタリー

映画『オードリー・ヘプバーン』- スクリーンの妖精にして永遠のファッション・アイコン、その知られざる姿を描いた初のドキュメンタリー

2022.05.11    | CD

映画『オードリー・ヘプバーン』

監督:ヘレナ・コーン
キャスト:オードリー・ヘプバーン、ショーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの長男)、エマ・キャスリーン・ヘプバーン・ファーラー(オードリーの孫)、クレア・ワイト・ケラー(ジバンシィの元アーティスティックディレクター)、ピーター・ボクダノヴィッチ(アカデミー監督賞ノミネート)、リチャード・ドレイファス:アカデミー賞受賞俳優(『アメリカン・グラフィティ』、『ジョーズ』)他
振付:ウェイン・マクレガー
バレエダンサー:アレッサンドラ・フェリ、フランチェスカ・ヘイワード、キーラ・ムーア
100分/2020年/イギリス/5.1ch/ビスタ/字幕翻訳:佐藤恵子/原題:“Audrey”
配給:STAR CHANNEL MOVIES
©️2020 Salon Audrey Limited. ALL RIGHTS RESERVED.
全国にて大ヒット公開中

メイン_Audrey_Intl_Eng_Digital_EST_Still8-1897003.jpg
 
 オードリー・ヘプバーンのドキュメンタリー映画『オードリー・ヘプバーン』が公開中だ。監督はオードリーが亡くなった1993年の翌年に生まれた、映画監督であり脚本家でありミュージシャンでもあるヘレナ・コーン。
 
 スリムなプロポーション、ショートカットにキリリとした眉、輝く笑顔のオードリー・ヘプバーン。同い年にはグレース・ケリー、ちょっと年上にマリリン・モンロー、ちょっと年下にエリザベス・テイラー。ハリウッド黄金時代。その中でオードリー・ヘプバーンは他の女優にはない魅力を放っていた。初の主演作『ローマの休日』でアカデミー主演女優賞。まさにスター誕生のシーンからこのドキュメンタリー映画は始まる。
 女優として鮮やかな魅力と確かな演技力でスターの道を進んでいくオードリー。だけれども、女優としての顔ではなく、これまでほとんど語られてこなかった別の顔を、いや本来の顔を、リアルタイムではオードリー・ヘプバーンを知り得なかった若き監督が探っていく。
 
サブ1_Audrey_Intl_Eng_Digital_EST_Still10-1897005.jpg
 
 ヨーロッパで生まれ育ったオードリー。踊ることが大好きで、バレエダンサーになることを夢見ていた。しかし戦争が近づいてくる。第二次世界大戦中はオランダで暮らす。オランダもナチスドイツの占領下に置かれる。オードリーが兄と共にレジスタンス活動をしていたのはかなり知られているが、両親は逆にナチスに傾倒、父親は家族の元から離れていく。母親からも愛情ある言葉はかけてもらえず過ごす。少女の頃のこの過酷で辛い経験が彼女の人生の土台となっていく。
 戦後、バレエダンサーの夢は身長の高さと貧困からの体調不良で叶わなかった。得られなかった愛、叶わなかった夢。だが彼女は女優となり世界中から愛された。夢は叶った。
 女優になって夢は叶った? そうだろうか?
 
 女優として多くの人に愛と勇気を与えたオードリー。その出演作で、オードリーは初めての体験にドキドキし、新しい自分と新しい世界を知っていく女性を演じている作品が多い。『ローマの休日』然り、『麗しのサブリナ』然り、『マイ・フェア・レディ』然り。新しい世界と新しい自分を知りステキになっていくオードリー演じる主人公に、観る者は自分を重ねるだろう。自分の中にも輝きがある、自分もきっと輝けると勇気が出てくるだろう。他のハリウッド女優とは違う、オードリー・ヘプバーンならではの魅力はこういうところだと思う。
 オードリーは素晴らしい女優だけど、彼女の夢は素晴らしい女優でいることはなく、人々に愛を与えていくこと。そのために勇気をもって生きること。
 

サブ2_15_©John Isaac.jpgサブ3_11_©Trinity Mirror : Mirrorpix : Alamy Stock Photo.jpg

 晩年、ユニセフ国際親善大使として、子どもたちへの支援活動に身を投じる。化粧っけなしの真剣で必死な表情、子どもたちに向ける笑顔と優しい眼差し。「無条件に人を愛せたこと」が人生の喜びとオードリーは言う。「人生で成し遂げた一番重要なことは、経験した苦しみを、後に自分の助けにしたこと」とオードリーは言う。
 

サブ4_Audrey_Intl_Eng_Digital_EST_Still4-1896999.jpg

 関わりある人たちへのインタビューと、そしてオードリー・ヘプバーン本人の過去のインタビューのアーカイブで構成。初めて見るオードリー・ヘプバーンがそこにいる。
 インタヒューに登場するのは、息子のショーン・ヘプバーン・ファーラー、孫娘のエマ・キャサリン・ヘプバーン・ファーラー。人権活動家・ジャーナリスト・映画プロデューサーのアンナ・カタルディ、ユニセフの写真家ジョン・アイザック。オードリーのドレスといえばジバンシィで、ジバンシィのもとでアーティスティック・ディレクターを務めていたクレア・ワイト・ケラー。家族ぐるみの付き合いをしていた友人たちやオードリーを撮り続けたフォトグラファー、リチャード・ウォルドの息子。ハリウッドからはオードリー最後の出演作のスピルバーグ監督『オールウェイズ』(1989)で共演したリチャード・ドレイファス、『ニューヨークの恋人たち』(1981)の監督ピーター・ボグダノヴィッチなど多彩。
 
 後半、最後に近づき、クルクルと踊る3人のバレエダンサー。よく見ると3人は世代が違うようだ。きっと3人ともオードリー。愛を得られず愛を求めた幼い頃、世界中から愛された頃、無条件に愛を与えた頃。きっとどれもオードリー・ヘプバーン。(text:遠藤妙子
 

関連リンク

このアーティストの関連記事

CATEGORYカテゴリー

TAGタグ

ロフトチャンネル
休刊のおしらせ
ロフトアーカイブス
復刻