メジャーで大衆的な音楽映画が劇場で注目を集める中、2020年にシネマート新宿が突如放った真逆の裏街道企画。地下にうごめく数々の<アンダーグラウンドなロック・ドキュメンタリー映画>にスポットライトをあてる期間限定の特集上映、ロック映画のフェスティバル、〈UNDERDOCS(アンダードックス)〉が5年ぶりに開催。
5月9日(金)より、地上6階に存在する地下世界、シネマート新宿にて上映される。
このたび、その予告編が解禁された。
オープニングから壮絶。火炎放射器(?)のような機械から炎が放出され、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテンの電動ノコギリからは火花が散る(荒廃した砂漠の中で開催された音楽フェスの原型を捉えた『デソレーション・センター』からの映像)。さらにキム・ゴードン(ソニック・ユース)が叫び、レッド・クロスが頭を振る。
全編にわたり「ゴーーー」という低音ノイズが続くがこれが音楽であり、最後にシネマート新宿スタッフの疲れ果てた姿をとらえたキービジュアル、そして“躊躇なく上映”という見たこともない衝撃的コピーで終わる。映像にタイムコードが残っていることも異様。
普通には観ることがないであろう本予告編は、アンダーグラウンドを突き進む企画らしい壮絶映像となっている。
また、〈UNDERDOCS(アンダードックス)〉全日程の上映スケジュールも決定(上映時間は後日確定)。
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5年ぶりとなる〈UNDERDOCS2025〉の上映予定作品は、2022年に劇場公開され大ヒット、フランク・ザッパの圧倒的な独創性と革新的人生に迫った『ZAPPA』が3年ぶりに新宿で上映されるのをはじめ、切なく哀愁を帯びたメロディを殺伐とした轟音で包み込み絶大な支持を集め、現在も新たな音楽を生み出し続けているダイナソーJr.の『ダイナソーJr./フリークシーン』と、BLACK FLAGのレーベルSSTから1988年に発売した名盤『バグ』の全曲を演奏した2011年ワシントンD.C.でのライブ『実演!バグ/ダイナソーJr.』、ロックの殿堂入りを果たしたジョーン・ジェットの半生に迫る『ジョーン・ジェット/バッド・レピュテーション』、辺り一面何も無い荒廃した砂漠の中でソニック・ユース、アインシュテュルツェンデ・ノイバウテン、ミニットメンという奇怪な組み合わせがただひたすら演奏するという現代のバーニングマンやコーチェラフェスの原型を捉えた『デソレーション・センター』、オーストラリア・パンクを世界に知らしめた豪州のストゥージズ、レディオ・バードマンを描く『レディオ・バードマン/ディセント・イントゥ・メールストロム』、90年代エモコアに多大な影響を与え近年再始動を果たしたジョウブレイカーの『ジョウブレイカー/ドント・ブレイク・ダウン』。
また、セックス・ピストルズ初のアメリカツアーを追ったパンク・ドキュメンタリー映画の最高傑作『D.O.A.』、究極の破滅型ボーカリストとして世界にその名を轟かせた夭逝のパンクロッカー、GGアリンと、残された家族の信頼と絆を描いた『ジ・アリンズ 愛すべき最高の家族』、そしてマイナー・スレットやバッド・ブレインズほか1980年代の米ワシントンD.C.ハードコア・シーンに迫る『サラダデイズ SALAD DAYS ディレクターズカット』。
さらには〈UNDERDOCS〉に日本のバンドが初参戦。何処を探しても何処にもない、その音楽性と佇まいに言葉が追いつかない、魅力が言語化不能なバンド、ファウルのドキュメンタリー『fOUL』、1986年札幌で結成、国内外で大きな影響をおよぼした孤高のバンド、ブラッドサースティ・ブッチャーズのドキュメンタリー『kocorono』、わずか3年間の活動ながらも海外にその名を轟かせたMADE IN JAPANの世界標準ROCKクレイジー、ティーンジェネレイトのドキュメンタリー『GET ACTION!!』が上映、全13作品となった。
巨大な商業的成功をおさめるアーティストたちの音楽映画が賑わうなか、この企画はその真逆を行く、裏街道まっしぐらな地獄の上映となる。
〈UNDERDOCS2025〉上映作品の詳細については、こちらをご参照いただきたい。