シスターフッドの出版社アジュマブックスは、 韓国最大のポルノサイト「ソラネット」を封鎖に追い込んだ、 オンラインフェミニスト集団「メガリア」たちの戦いの記録『根のないフェミニズム フェミサイドに立ち向かったメガリアたち』を、 2021年9月29日(水)に全国の書店・ネット書店等で発売。
女性に向けられる嫌悪や排除である 「ミソジニー」 による、 女性を標的にした痛ましい、 未遂も含めた殺人事件 「フェミサイド 」が後を絶たない。日本同様、 家父長制の強い韓国社会でも、 ミソジニーはオンライン上で、 より苛烈に女性たちを追いつめています。 長期間に渡りデジタル性暴力がまかり通っていた韓国最大のポルノサイト「 ソラネット 」に、 激しく抵抗し、 遂には封鎖に追い込んだのが、 韓国史上初のオンラインフェミニスト集団「 メガリア 」。 本書は、 韓国のフェミニズム史に残る「メガリア」の中にいた当事者たちによる戦いを記録した ノンフィクション 、 フェミニストによる勝利宣言書だ。
女性嫌悪を剥き出しにするネトウヨが、 “モノ言う女”=フェミニストをことさら標的にするのは、 韓国も日本も変わりません。 人権のために声をあげる人々を「国家の足を引っ張る虫」として冷笑し、 攻撃し、 “男性嫌悪集団”というレッテルを貼るなど、 ありとあらゆるヘイトで黙らせていく言説がオンライン上で繰り広げられていった。 「メガリア」が勝利するまでには、 すさまじい葛藤と、 死の淵に立つような絶望が、 彼女たちを襲ったのだ。 しかし、 その過程にこそ、 日本の女性たち今聞くべき声、 学ぶべき声があります。 そして、 オンラインにはオンラインの戦い方があった。
本書では、 さまざまな「事件」や「事故」について、 自分たちの暮らしが被った影響を交えて、 証言する7名が登場。資料としても貴重なタイムラインやミラーリング辞書を収録。
・性差別発言への抗議が、 逆に男性から訴えられ、 高額な罰金刑になってしまった女性。 苦しみながらも裁判を戦い、 無罪判決を勝ち取った。
・「ソラネット」でリアルタイムレイプを謀議していた書き込みを目撃し、 メガリアとして「ソラネット」廃止運動に尽力した女性。 フェミニズムに目覚め、 自国の根強い家父長的現実からフェミニストへの未来と理想について語る。
・オーストラリアのテレビ番組で、 韓国の性差別問題にインタビューで答えた女性が、 ネットで凄まじい攻撃にあう。 彼女に暴力的な書き込みを掲載した男性ユーザーたちを一人ずつ告発、 謝罪を勝ち取る。
・ミソジニーな男たちによる女子大侵入事件と女の敵は女というシンポジウム企画を家父長的視点からつぶされた女性。 それを機にフェミニズム論争に深い悩みを持っていると語る。
・メガリアでソラネット閉鎖運動に関わったことでフェミニストとなり、 いまは女性団体を組織し活動している女性。
・オンラインマンガ作家侮辱罪事件で訴えられた女性の弁護士による事件経過
社会を変えるためには女性自身が変わればいいのだという、 真理と希望を本書は私たちに教えてくれる。 「 根のない 」=「根本のない」という韓国語独特の言い回しで、 歴史も、 権威もない、 という意味。 「メガリア」たちは、 フェミニストとしての理論的基礎がないまま、 突然「韓国を代表するオンラインフェミニスト戦士」として最前線で戦わなければならなかった。
すべての出版社から出版断られた問題の書
フェミニズム勝利活動の貴重な記録である本書は、 韓国のほぼすべての出版社から出版を断られ、 当時できたばかりの韓国のフェミニズム出版社「 if books 」を頼り、 ようやく刊行にこぎつけた。 アジュマブックスとしては『 ハヨンガ ハーイ、 おこづかいデートしない? 』に続く二冊目の「 if books 」の本だ。本書についても、 多彩なゲストを交えた発売記念イベントの開催を予定。 参加方法はアジュマブックスのサイトやSNSなどでお知らせとなる。