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パンデミックで大注目の論客、福岡伸一・伊藤亜紗・藤原辰史がこれからを生きる指針を語る! 『ポストコロナの生命哲学』(集英社新書)が9月17日(金)発売!

2021.09.02

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コロナによる初の非常事態宣言後、新聞紙上などでいち早くウイルスとの共生を訴えた生物学者・福岡伸一、コロナ禍で注目された「利他」を学問として研究する美学者・伊藤亜紗、「パンデミックを生きる指針」が大反響を呼んだ歴史学者・藤原辰史。気鋭の研究者3人が、これからを生きる拠りどころとなる「生命哲学」について徹底討論する『ポストコロナの生命哲学』(集英社新書)が9月17日(金)に発売される。
 
コロナウイルスによる感染症拡大の中、医療が逼迫し、入院先もままならない事態が進行。命か経済かを問われる局面の中で、私たちの生命、生活が脅かされている。今の政治、経済、社会、科学には、「いのち」に対する基本的態度──生命哲学の視点が抜け落ちているのではないか。そのような問題意識から、3人の論者がこの難局とどう向き合うのかを論じた。孤独や不安、格差や分断など、コロナ危機で顕在化した種々の問題を解きほぐし、ウイルスと共に生きていくための術を探っていく。

本書の内容より

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生物学者・福岡伸一
ポストコロナの時代の人間のあり方として重要なのは、自由を手放してはいけない、ということです。生物としての人間を人間たらしめている一つの本質は、ロゴス(言葉)の力によって遺伝子の掟から自由になったということです。人間にとって大事なのは、ホモサピエンスという種の存続よりも一つひとつの個体の生命だということであり、そのことが相互に約束されているのです。「産めよ、増やせよ」も大事だけれど、そこに貢献しない自由が認められ、種の保存に関わらない個体も生命として尊重される。人間だけが獲得できたそうした価値観が、基本的人権の基礎となる考え方へとつながっていきます。よく、基本的人権は生まれながらにして人間に備わった権利であると説明されますが、これはロゴスの力によってあえて約束したものなのですから、常に守り抜く努力が必要とされます。コロナの問題は、この基本的人権を揺るがせるピュシス(自然)の力によるものであり、今のようなときこそ心して個々の生命に価値があるということを守っていかないといけないと、私は思います。
 

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美学者・伊藤亜紗
私は、今こそ「道徳」と「倫理」を区別することが重要だと考えています。この二つは似た言葉に思えるかもしれませんが、実はまったく違うベクトルを持った言葉です。まず道徳とは、「人を殺してはいけない」のように、状況によらない、普遍的な命令です。まさに小学校の道徳で習うような内容で、そこには迷いはありません。一方倫理とは、さまざまな制限のある具体的な状況下で、最善の行動を選ぶことです。絶対的な命令に従うことが必ずしも正解とは思えないときに、何がベストなのか、探し求めることです。そこには「あれでよかったんだろうか」というじりじりした迷いがつきまとうし、その場で解をつくり出すという意味で創造的な行為です。SNSの発達によって、私たちは普通の人の普通の生活の様子を、何となく知ることができる状況に生きています。けれどもSNSに流れてくるのは断片的な情報であり、その人の生きている具体的な現実のすべてではありません。にもかかわらず、なまじ断片が流れてくるので、それが「○○すべきだ」という道徳的態度を誘発しているようにも思います。重要なのは、「○○すべきだ」と一般論を振りかざすことではなく、「この状況で何ができるだろう」「相手はどのような状況にあるのだろう」と探る倫理的な態度です。それには時間がかかります。忙しい日々のくらしの中で、いかにこの時間が確保できるかが重要であるように思います。
 

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歴史学者・藤原辰史
新型コロナウイルスへの恐怖を理由に、テクノロジーで危機を乗り越えていこうという動きが強まっていった結果、監視システムを発展させて一人ひとりの生物学的情報を分析し、つなげていくというジョージ・オーウェル的社会がもたらされる可能性を見過ごしてはいけないと思います。戦時中、「欲しがりません勝つでは」というスローガンがありましたが、コロナ禍においても、人々の生活や感情を事細かに管理していくような権力のあり方が出てきたと思います。そうやって為政者が人々の一挙手一投足を監視していく恐怖に加えて、それにある種便乗する形で、いわゆる自粛警察的に、人々のあいだに監視装置が充実していくということも危惧しています。
 

商品情報

ポストコロナの生命哲学

著者:福岡伸一 伊藤亜紗 藤原辰史
発売日:2021年9月17日(金)
判型:新書版
定価:本体924円+税
ページ数:240P
ISBN:978-4-08-721185-6

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