中田敦彦、 その名前を聞いて皆さんはどんなイメージを浮かべるだろうか。 藤森慎吾さんとのお笑いコンビ「オリエンタルラジオ」、 NHK紅白歌合戦にも出演したダンス&ボーカルユニット「RADIO FISH」、 そして今や多くの芸能人も参加し群雄割拠の様相を呈するYouTube界にて、 トップクラスの人気とチャンネル登録者数を誇る「中田敦彦のYouTube大学」と、 その活動の認識は世代によっても大きく異なるだろう。 中田敦彦さんは数々の成功を収めてきましたが、 しかしその道のりは実は平坦なものではなく、 順風満帆と呼ぶにはあまりにかけ離れたものあった。本書のサブタイトルに『「しくじり」の哲学』とあるように、 栄光と挫折が目まぐるしく交差する人生だった。
オリエンタルラジオとしてデビューして間もなく、 リズムネタ「武勇伝」でトントン拍子で芸能界を昇りつめ、 冠番組を幾つも持つほどの人気を得ながら、 ほどなく失速。 話題性も仕事も激減。 しかしそこから相方の藤森さんは「チャラ男」キャラで再ブレイク。 続いて中田さんもテレビ番組 『しくじり先生 俺みたいになるな!!』 の講師役が好評を博し、 知性派芸人として相方藤森さんに負けず劣らずの再ブレイクを果たした。しかしそんな最中のこと。 中田さんは他のトークバラエティ番組に「ひな壇芸人」の1人として出演した際、 ふと疑問を持つ。このままでいいのか。 こうやって「ひな壇芸人」としてみんなとワイワイやるのは楽しい。 それは間違いない。 でもこのバブルのような状況はいつまでも続くものなのか――。
そんな疑問にとらわれたのを機に、 自分のやりたいこと、 スタンス、 個性をより明確にしようと、 芸能活動の方針を変えた。 その一手がダンス&ボーカルユニット「RADIO FISH」の結成だった。相方の藤森さん、 中田さんの弟でダンサーのFISH BOYさんら総勢で6名からなる「RADIO FISH」は、 楽曲『PERFECT HUMAN』で一世を風靡し、 2016年の大みそかにはNHK紅白歌合戦にも出演を果たす。
そしてさらに中田さんは「RADIO FISH」にとどまらず活動の領域を広げていく。 2019年4月からはYouTubeに注力。 『中田敦彦のYouTube大学』と銘打たれたチャンネルは開設からわずか1年でチャンネル登録者数200万人を突破。 そして2020年8月現在、 チャンネル登録者数は280万人を突破し、 トップユーチューバーの仲間入りを果たした。
『中田敦彦のYouTube大学』はYouTubeの世界では「教育系」と呼ばれるカテゴリーに位置付けられている。 中田さんはそこで「歴史」「文学」「物理」「数学」「ビジネス」といった教育系ジャンルを幅広く、 独自の視点で楽しく解説。 ひと口に「教育系」と言っても多彩な分野を取り込むことで、 老若男女問わずファンを獲得している。そんな中田さんの生活はいま『中田敦彦のYouTube大学』のための膨大な読書、 そして撮影の時間と、 自身が主宰するオンラインサロン『PROGRESS』の活動にほぼすべて費やされている。
本書では、 中田敦彦のすべてが明かされています。 初めて自ら語る家族のこと、 相方藤森さんのこと、 そしてさまざまな苦闘や喜び。 自身の半生を幼少時から現在まで振り返り、 「幸福とは何か?」について考察した、 渾身の一冊。
中田敦彦さんコメント
ぼくにとって大きな節目になる本です。 現時点でのぼくの集大成と言っていい。
成功も、 失敗も、 喜びも、 涙も、 おおよそぼくが経験したことのすべてが詰まっています。 しくじってしくじって、 笑われて笑われてきたぼくだからこそ、 読者のみなさんに伝えられるものがあるんじゃないかと思っています。 成功がすべてじゃないし、 がんばることがすべてじゃない。 たとえ失敗してもそのプロセスが楽しかったのなら、 ぼくはそれを肯定したい。 つらくてがんばれないひとがいるのなら、 ぼくはそのひとを肯定したい。 そうやって肯定していくことで世界は美しくなっていくのだと信じています。
タイトルどおり、 この本のテーマは「幸福とはなにか」です。 幸福とはなにか――。 実は最近までぼくはそんなことを考えたことなんてありませんでした。 でも、 テレビを離れて、 YouTubeやオンラインサロンの活動に軸足を移すようになって、 ぼくのなかでなにかが大きく変わっていった。 そしていつしか、 ひとはいかに生きるべきか? という問いがぼくのなかに生まれたんです。
ぼくらはつねに成功を求めようとするけど、 それを人生の基本にしようとするけど、 ほんとうにそのスタンスは正解なのか。 そこにしか幸福はないのか。
ぼくは「YouTube大学」を配信するようになって日々たくさんの書物に接してきました。 そのたくさんの書物から得た知見も交えつつ、 思索を深めてみたのが本書です。 20代のぼくだったら“サクセス”のことしか考えられなかった。 でもキャリアの浮き沈みを潜ったいまだからこそ言えることがある。 みなさんに楽しく読んでもらえれば望外です。