部屋の中
連作のコラム、2回目です。
4月も最終週、東京では毎日のように地味に雨が降っています。
前に投稿した文章でも書きましたが、5月2日に開催予定だった「少年の叫び2020」は延期となりました。しかし、先日お店の方とのミーティングを行って「少年の叫び2020に向けての物語」という配信ライブイベントを行う事になりました。もしもご都合宜しかったらビデオカメラ越しですが、精一杯お届け出来るように励みますので覗いてもらえたら嬉しいです。本編に向けて出演者関係者一同結束を強めて参りたく思っています。
さて。第2回目の連載を書いていきたいと思います。口語体で書かせて頂きますがご容赦ください。
先日は僕の部屋の中にある「空の飛び方」(何度書いても恥ずかしい)というノートからの一節を取り出して書いたが、今回はその頃の著者近影を載せてみようと思う。写真は高校生の僕だ。肌黒く見えるが特別部活に励んでいた訳ではない。というか帰宅部であった。今ではそうでもないが、単純に地黒なのだ。後ろには七五三の頃の写真も見える。そして鏡越しには母の姿。高校に入った位には両親との会話はほぼなくなっていたし、どういう経緯でこの写真が撮られたかは思い出せない。何かの証明写真の為に必要だったのかもしれない。不機嫌そうに座る僕の姿は今見ると先述のノートとは違う意味で趣深い。
何か特別な理由があった訳ではないけど(忘れているだけで直接的な出来事も幾つかあったのかもしれない)所謂反抗期と重なって両親との距離は中学、高校位から開き続けた。何か話しかけられても小さい声で「ああ」とかしか言わない僕。肉親でなければとっくに距離を取って家から放り出したであろう。結局堪忍袋の緒が切れて、愛深い両親も耐え切れず家から出て行ってくれ。と言うようになるが。
写真の人物の目は死んでいるように見えないが健全そうにも見えない。苛立ちを含んでいるというよりは、何かに怒っているのだろうか。妙なエネルギーを孕んだ少年はロックンロールに魅せられていく。当時で言うとミッシェル、ブランキー、ハイスタ、毎月発売される音楽雑誌を楽しみにしてライブハウスに憧れた。僕の地元にもライブハウスはあったが、非常に敷いが高いように見えたし、極めて入り辛かった。この頃、そのライブハウスの店長が店長の顔のイラスト入りのTシャツを販売した事があって、なんとか中に入りたいけど、普通の営業時間にはとても行く勇気がなかった僕はそのTシャツを発売日に購入しにいった。電気の通っていない自動ドアを手動で開けるとそこには受付があって、Tシャツを購入したい旨を告げると、本当に来た!と、ざわざわ笑い声が聞こえたような気がした。事前に電話で問い合わせたからかもしれない。
僕の街にあるライブハウス「千葉LOOK」は一階路面店だったので、バイトはしていたが金は全然なかった僕は、それからよくライブハウスの前に音漏れを聞きに行った。時には中でライブを聞きに行ける事もあったが、ハイスタ、KUMURI、バックドロップボム、ハスキングビー、人気アーティストのチケットは取れなかったが音漏れだけでも十分に幸せであった。高校の同級生と店前に座り込んで音楽を聞いていると未来に向かって歩を進められているような気持ちになった。
ライブハウスは神聖で想像する全ての自由が詰まっているようにも思えたし、童貞であった僕にはそこで起こるかもしれない女性との出会いにも期待した。
高校生。写真の僕が部屋から、そして家から飛び出していくだろう先に信じる全てはそこにあった。
実家の部屋の中で悶々と蓄えられたたエネルギーは2001年、ブルーハーツの歌の曲名からとって「少年の叫び」というイベントとなって形取った。
その後、楽器を手に取り、更にその後、マイクを握るようになるが、序章を終えた僕のライブハウスとの物語の第一幕の幕開けはそこから始まる。高校生を少年時代と言ってもいいのなら、少年時代の僕の願望の一旦は叶えられたと言ってもいいのかもしれない。それでも渇望は尽きず、探求は止まらず、今も焦燥感に駆られ続けている。
Text 内藤重人
Live Info.
少年の叫び2020に向けての物語
2020/5/2 at 渋谷LOFT9
*配信LIVEとなります。
出演:内藤重人/小豆原一朗/アサトアキラ/阿部浩二/成宮アイコ(映像出演)/伊藤晋穀/大島健夫
開演:配信開始時間/-終演時間:12:30/14:30
Ticket://1500yen
ご購入はコチラから
配信プラットホーム:「ZAIKO」(https://zaiko.io/)
ハッシュタグ:#少年の叫び
少年の叫び2020
2020/8/9 at 渋谷LOFT9
出演者後日発表