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2019年3月、性的虐待や強姦事件に相次いで出された無罪判決。『なぜ、それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』刊行。

2019.08.18

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株式会社ディスカヴァー・トゥエンティワンが『なぜ、 それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法』(伊藤和子著)を刊行した。
 
2019年3月、 性的虐待や強姦事件に相次いで無罪判決が出された。 なぜこれらが無罪なのか。そこには、 2017年の刑法性犯罪規定改正を経てもなお残る問題点があった。本書は、 先進国のなかでも後れをとる、 日本の性暴行関連の刑法の問題点を、 具体的な判例や話題の事件をもとに浮き彫りにし、 改正への提言を行う一冊だ。)
 
2017年、 刑法の性犯罪規定が改正され、 強姦罪は「強制性交等罪」に、 準強姦罪は「準強制性交等罪」に名称が変わり、 男性が被害に遭った場合も処罰されることになり、 刑も重くなった。 (3年以上の有期懲役→5年以上の有期懲役)。 それでも、 刑法の規定に「暴行、 脅迫」「抗拒不能」などの要件はそのまま残されたため、 未だに性被害にあっても泣き寝入りをせざるを得ない人がたくさんいるのだ。
 
それぞれの罪の構成要件を見ると、 「強制性交等罪」では、 1.暴行・脅迫を用いて、 2.性交等を行うこと。 「準強制性交等罪」では、 1.心神喪失又は抗拒不能となった人に対し、 2.性交等を行うこととされている。
 
「心神喪失」とは、 精神的な障害によって正常な判断力を失った状態をいい、 「抗拒不能」とは、 心理的又は物理的に抵抗ができない状態をいう。 つまり、 「抵抗することが著しく困難な場合」にこの構成要件は満たされることになる。相次いだ無罪判決では、 この「心神喪失又は抗拒不能となった」かどうかが争点となり、 それが立証できない限り無罪になるような法律になっているのだ。
 
イギリス、 カナダ、 スウェーデン、 ドイツ、 米国(一部の州)などでは、 不同意の性交をすべて「レイプ」として刑事罰の対象とする など、 被害者の視点に立った性犯罪の定義規定の改正が実際に行われている。 アジアでも、 韓国や台湾では、 性犯罪の成立範囲を拡大する法改正が行われた。条文上で 「暴行、 脅迫」「抗拒不能」などの要件を明記し、 検察(被害者)側に高い立証のハードルを課している日本の制度 は、 国際的な潮流からしても時代遅れになりつつあり、 被害者を苦しめている。
 
「判例主義」を背景とする日本の刑事裁判においては、 上級審の判決が判例として確立していくため、 下級審もそれに従うという傾向があり。 また、 裁判官独立の原則により、 法解釈の指示ができるわけでもない。 そのため、 上訴制度によって是正と統一が図られているのです。 その結果、 下級審は上級審と違う判決を出しても、 判例の立場が変化しない可能性が高ければ、 上級審によって覆されてしまうため、 判例が踏襲されやすくなるというサイクルになっているのだ。ここで私たちにできることは、 大前提となる法律の改正を求めること。
 
強制性交等罪における暴行・脅迫/ 心身喪失・抗拒不能の要件を撤廃し、 相手からの「不同意」のみを要件として性犯罪が成立するよう刑法を改正すること
監護者等性交等罪の適用範囲を18歳以上に拡大し、 処罰を重くすること。親族、 指導的立場にある者(教師・施設職員等)や上司など地位や関係性を利用した性行為に対する処罰類型を設けること。低すぎる性交同意年齢(13歳)を引き上げ、 抜本的に見直すこと本書では事例を交えながら、 上記のポイントをわかりやすく解説している。
 
【#なぜそれが無罪なのか】性犯罪に関する刑法の現状と未来を語り合いましょう。 
今の法律、 社会のどこに問題があるのか、 みんなで語り合ってみませんか?
#なぜそれが無罪なのか をつけて、 SNSであなたの思いを聞かせてください。 
 

商品情報

なぜ、 それが無罪なのか!? 性被害を軽視する日本の司法

発売日:2019年8月13日
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
仕様:新書判・ソフトカバー/p.288
ISBN: 978-4-7993-2544-5
本体価格:1,000円(税抜)

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