純喫茶は大好き、でも珈琲は飲めない......そんな能町さんが「古きよき純喫茶の象徴」と して選ぶのは「ミルクセーキ」。あえて取材の形を取らず、まさにきまぐれに、ふらりと入った喫茶店で、ひたすらミルクセーキをオーダーするエッセイ(一部の店舗を除く)。
「純喫茶と言われるような喫茶店が大好きです。やわらかな照明、落ち着いたマスターや ママ、珈琲の香りーーしかし。しかし私は体質的にコーヒーが飲めないのだ。 私は大好きな純喫茶で何をしたらいいの。」(本書序文より)
そうだ。ミルクセーキ飲もう。
「閉店、移転、ミルクセーキなし、ミルク切らして飲めず。
でも書きます、書きたいんです」
紹介するお店は、北海道利尻島から長崎まで、列島各地を網羅。本書刊行までの間に惜し まれつつ閉店したお店、再開発の煽りを受けて移転したお店、そもそもメニューにミルク セーキがなかったお店、あるけど牛乳切らしてたお店、時代の流れもハプニングもすべて 能町節にくるんで綴る。
喫茶店のセレクトもまさに「きまぐれ」な能町流。ガイド本に載るような有名店ではなく、 地域に根付いて街の井戸端として長年営業を続けているお店を選び、店内の雰囲気やマス ターのお人柄、果ては店に集う常連さんの様子を、文章とイラスト、写真で活写。