8月31日（水）下北沢SHELTER
「In The Black Box」
white white sisters / WHITE ASH
DJ：鹿野 淳（MUSICA）
音を浴びる、という表現がWHITE ASHのライブでは正しいのかもしれない。
7月に2nd.ミニアルバム『WALTZ WITH VALKYRIE』をリリースし、8月25日 十三FANDANGO、8月26日 新栄APOLLO THEATERと回ったWHITE ASHの初めてのツアー“In The Black Box”のファイナルが、8月31日に下北沢SHELTERで行なわれた。
超満員のSHELTER。6月に同じく2nd.ミニアルバム『spectrachroma』をリリースしたwhite white sistersのライブ、そして鹿野氏のDJがあり、WHITE ASHが登場した時にはすでに熱気が沸点に達していた。この日は『WALTZ WITH VALKYRIE』の中から『Scar(t)』でスタート。超低音を響かせるリズム隊に重なるように、“まさにのび太”的容姿からは全く想像が出来ないボーカル・のび太がサウスポーでギターを鳴らしながら、艶っぽい歌声を聴かせる。この一瞬で音の波に巻き込まれ、ゴツさと繊細さを持ち合わせた彼らのサウンドに身を委ねた。『Thunderous』での、彩が弾くベースに導かれるように、フロアには無数の拳が上がり、続く『Stranger』は、ギターの1フレーズが鳴った瞬間に歓声が上がり、ダンスフロアへと化す。重たいリズムを刻むドラム＆ベース、赤く怪しい光を放つ照明、全てが『Stranger』という曲を彩る最高の演出だった。
しかし、怪しげで妖艶な空気を作り上げたところに、にゅ〜っと愛嬌のある顔を覗かせたのものび太だった。「はい、ということで…」と始まるMCに、それはないだろ！ と心の中でツッコミを入れたが、あのキャラでは憎めない。歌っている姿はあんなにかっこいいのに…。「最高の夜をプレゼントしに来ました！」と、全く邪気のない表情だ。
雰囲気を変え、再び演奏へ。あのMCがピンと張りつめた空気を和らげたのか、心なしかフロアとステージとの距離が縮まっていたように思う。その中で『B.B.』は、バンドのアンサンブルが圧巻で、まさに“音を浴びる”という感覚でステージから音の塊が降りかかってくるよう。サウンドの“間”も絶妙で、あの一瞬の緊張感が何とも言えない。のび太が作る英語の歌詞は独特で、一聴しただけではわからないけれど、彼らのライブに来たらそんなことはどうでもよくなる。ただただ掻き鳴らされる音に身体も脳も預けると、自然とリズムに合わせて身体が揺らされていき、彼らの世界にどっぷりと浸かることが出来る。後半戦の『Ugly Marguerite』〜『Ray』〜『Flashback』ではダンスナンバーを立て続けに演奏し、フロアは瞬間的に熱を帯びていった。最後は、のび太1人がステージに残り、『I'm Fine Too Thank you』をギター一本で。この曲は現在リリースされている作品の中で唯一の日本語詞。それをのび太がやさしく歌う。これまでのフロアを揺らすとはひと味違う、ゆっくりとした時間が流れ、ライブは終了した。
アンコールがかかり、しばらくして笑顔で再びステージに現れた彼ら。笑顔の理由のひとつは、彼らにとってこの日のアンコールが“初めてのアンコール”だったから、だそう。初めて自分たちが主催のツアーを行い、イベントのトリを務める。そんな記念すべき日のアンコール1曲目はなんと、新曲。のび太はギターを持たずボーカルに徹し、フロアを煽る。フロアを煽るのび太に目を奪われながらも、これまでのWHITE ASHをもっと濃厚にしたサウンドに酔いしれる。満員で、ステージが見えたり見えなかったりだったので詳しくはわからないが、聴いて想像した限りでは、メンバーそれぞれがところどころボーカルを執る曲の構成になっていたと思う。そして、「ラストだよー」という、オチャメを絵に描いたようなのび太のひと言から『And Gypsy』が演奏され、ステージの幕は閉じた。今後、もっともっと強力で、もっと多くの人を揺らすバンドになるという可能性をたくさん秘めたライブだった。（Rooftop：やまだともこ／PHOTO by：柴田恵理 ）
SET LIST
1. Scar(t)
2. Thunderous
3. Stranger
4. Reject
5. B.B.
6. Maze
7. Hello, Afternoon
8. Ugly Marguerite
9. Ray
10. Flashback
11. I'm Fine Too Thank you
en)
1. 新曲
2. And Gypsy
