今月のルーフトップの表紙と巻頭は、ロフトの名物オヤジ・平野悠です。でもみなさん、「噂どおりのワンマンぶりだなあ」と言う無かれ。本人、初の単行本「旅人の唄を聞いてくれ!」の出版で、かなり舞い上がっており、ある時は「ベストセラーだ!」と強気の発言をしてるかと思ったら、次の日は「どうせ売れないよな...」と落ち込んでるという、非常に情緒不安定な状況になっておるのです。そこで、心やさしいあなたにお願いします、是非買ってあげて下さいね。(もちろん「TALKING LOFT3世Vol.2」、「完全ナンパ実践講座」のほうもヨロシク) (INTERVIEW:加藤梅造)
ルーフトップ表紙争奪事件の真相は?
──この伝統あるロフト機関誌ルーフトップでいわゆるプラスワン系と言うか、ロック系以外で初めて表紙、巻頭インタビューですね。
平野:う~ん、ロフトってやっぱりロックのイメージが強くって、そう、ロフトが出版やビデオ部門を作ったのがやはり、ロフトプラスワンという世界でも初めてのトークライブハウスを作って4年、やっとトークライブハウスが市民権を取れたねって感じかな。
──最近のルーフトップってそれは音楽関係者に評判よくって、最近では表紙を下さいっていうミュージシャンがとても多いそうですよ。それでも表紙取れたのはやはり、平野さんのワンマンというか、強引と言うか、、、。
平野:まあいいじゃないの。でも、今ロフトプラスワンは、ロックファン関係をのぞいたら、ロフトといえば、トークライブのロフト、サブカルチャーのロフト、オタクの聖地なんて方が一般的に有名なような気がするんだけれど、、。
──身内で争ってどうするんですか?
平野:でも一度は俺表紙やってみたかったんだよね。
──そんな話、トーキングロフト1号の時も囚人服着て表紙載っていますね。
平野:俺って何でも一度はやってみないと気がすまない性格なの、、。
──そうですか? 27年の歴史あるルーフトップの表紙にはまだ載ったことがないと、、それで、、。
平野:このルーフトップの歴史は長くって、それはほとんど初期のロフトが作られてから、それは一貫として発行し続けている訳じゃない、大げさに言えば27年間、そして、今や2万部もフリーペーパーとして配られている、もうロフトグループは音楽も含めた総合文化の発信基地として、脱皮しようと頑張っているわけだから、当然といば当然なんだよね。俺の主張はもう、ロックだけがロフトではない!と言うことかな、、これが俺の最後の仕事なんだというか、、?
暴挙!11月15日単行本2冊同時発売!!
──ところで、ロフト文化部門では、11月に2冊の本、ビデオ作品が勝負に出るわけですけど、、、。
平野:うん、「TALKING LOFT3世Vol.2」は前号がそれなりに売れているので余り心配していないけど、この本もこれで総計5冊めか、読者は完全に獲得されたと思うし、内容もなかなかいい。これ、うめぞ~がほとんど一人でそれも初めての編集長でやっちまった訳だろう、たいしたもんだね、うめぞ~さんやはりいろいろ苦労した訳ですか?
──私が質問しようと思った事、ですが、、。やはり大変でしたね、でも、平野さんじゃないけどいい経験になりました。はまりました。これだけのメンツを揃えた本はそう簡単にはできないと思いますが、ロフトプラスワンという土壌があったからこそ可能だったんでしょうね。申し訳ないような安いギャラで引き受けてくれた出演者の方々や編集を手伝ってくれた人達には本当に感謝しています。ところで、平野悠、初めての単行本の出版「旅人の唄を聞いてくれ!」はどんな感じでした?
平野:苦労したと言うより、面白かったね。実に、270ページの本を書き切るってどう言うことか、一度は体験してみたかったわけ、、。やはりはまってしまって、2カ月間で書き終えた。
──それでプラスワンにはほとんど来なかったんですよね。今回なぜ、旅の本を出そうと思ったんですか? 以前から、複数の出版社から、平野さんに本を出版しないかというオファーがあったと聞きましたけれど。
平野:確かに一度は自分で書いた単行本を出してみたいという欲求はあったんだけれど、出版社からのテーマはロックの本なんだよね。新宿ロフトの歴史を書いてほしいとか。俺、今のロックって言われたって分からないし、もしどうしても書くと言えば、俺にとっては過去の話でしかないわけ、坂本龍一や山下達郎やボウイやARBがどうしたこうしたとか、日本のロックの創世記とか、そうなるとどうしてもリアリティがないし、スキャンダラスな事しか覚えていないし、思い出話と自慢話でしかないわけじゃない。やはり面白い作品にはならないと思うから、、、。
──「旅人の唄を聞いてくれ!」という今度の本、私もゲラを読まして貰いましたけど、これはタダの旅の本ではないですよね。何というか平野悠の歴史と言ったらいいのか、新宿ロフトのこととか、今回旅した、東南アジアだけでなく、世界中の国々のいろんな出来事なんかが登場してくる、たとえば、ポルポトとナチスが、ベトナムでのアジアンジャパニーズと平野さんが経験したドミニカでのレストラン経営の事とかリンクして出てくる。北朝鮮で強制送還された話まででてきて、思想本みたいな感じですよね。そんなふうに話題があちこちに飛びながらも一気に読めちゃうのは、東南アジアにパッカー退役の平野さんと、現役クズパッカーと旅には全く素人の劇団女性を連れて旅をしたことがベースになっているからですが、、、。
平野:初めはそれはもう、闇の中、だって初めてこんな長文書くわけじゃない。それに編集者がいろいろお世話して文章作ってくれる訳ではなくって、自分一人でやったわけ。一番心強かったのは、インターネットの俺のページに殴り書きして、そのまま載せていたんだ、そしたら、色々な連中が、ここが面白いからもっと書いた方がいいとか、自分の旅の体験記などを書いてくれて、とても助かったし、諦めず最後まで書ききるという勇気を貰ったね。世界を放浪して5年、ドミニカに定住して5年、今回の東南アジアを旅していての1か月間、やはり過去の事がそれなりにリアリティをもって沸々とわき出してきた。
──この本を買って欲しいというターゲットは意識していました?
平野:いや、何も。ただインターネットに載せて、旅に全く興味のないひとが、なぜ戦争が起こるのか?やナチスの事とか、ポルポトの俺の文章に触れて「私は今までそんな事考えたこともなかった、自分が余りにも何もしらないって事、本当に恥ずかしく思う」なんてメールくれたり、そんななかで書き込んでいった訳だから、もうただの旅の案内本なんかにする気はなくなって。例えば、ベトナムに行けば20数年前のベトナム戦争はやはり俺の青春の蹉跌なわけじゃない? だから当然日本で俺がベトナム戦争反対闘争や全共闘運動の事も書かざるを得なかった。
平野、禁断の映画監督に挑戦!?
──最後に今度「完全ナンパ実践講座」というビデオ作品の監督をやられているわけですが、これも、一度やってみたかったという感覚での挑戦なわけですか?
平野:まさにそのとおり。この作品にはまいったね~、一番問い合わせが多い。ナンパなんて、マニュアルなんて必要ないのに、、そんなこと自分で考えてやれよ!って言う感じなんだけど、これだけオファーが多いところを見ると、今の若い連中は結局はマニュアルがないと何にも出来ない、、。独創性とか想像力の欠如が今の若者を支配している、情けないね、、。これも偏差値野郎の行き着く末なのかね?
──そうですね。先日プラスワンでナンパ実践イベントをやったところ、出演者は無名な人なのに、なんでこんなに客が入るの?というくらい集まった、、。
平野:この作品もプロデューサーがうめぞ~で監督が俺。とにかくほとんど全部が隠し取り撮影で、やはり苦労したね、、最後は新人のナンパ志願者の男が使えなくって、プロデューサーが、通行人に声をかけてナンパするハメになってしまった。いかがでしたかうめぞ~さん?
──しかしヒモさん(鍵英之さん)は現場に立つとすごい迫力がありましたね~。巷で売られてるナンパビデオっていうのは、AV監督がギャラ交渉して素人をハメるってパターンばかりで、一般の人にはあまり参考にならない。その点、今回のビデオは、まさにモテない男のための実践的な内容になってますから。もちろんヤラセなしで撮ってますしね。
平野:確かに勉強にはなるわな。話術とかターゲットの選び方、なんかは。プロのヒモ君も何回も失敗していたわけじゃない。で、最後はちゃんと居酒屋で2時間のワイン攻撃の後、ホテルに連れ込んだ、、やはりすごいね! で、このビデオの次の作品はだな~、、。
──えっ、もう決まっているんですか?
平野:当たり前よ。次は「完全ハメ取り実践講座」を又うめぞ~とのコンビでやる。これはものすごいビデオになりそう。ハメ取りビデオは「素人の君でもできる」、と言うテーマなんだ。
──あのプラスワンナイトでいつも自分のハメ取り作品を発表しているあいつが主人公ですか?
平野:そうだよ。奴はいつも伝言ダイヤルにメッセージを入れて、ハメ取り公募しているんだ。それでOKする女がいるんだそうだ。これも全て隠し取りでいきたい。ヤラセは一切使わないつもり。
──まいったな~、またへんなこと考えて。そろそろ僕をプラスワンに戻して下さいよ、お願いしますよ。平野さんとつき合っていると、なんだか自分の仕事が何だかわかんなくなってしまうんですよ……(笑)