7月13日(土)から15日(月・祝)の三連休、『3WAY SPLIT(ただ碧い夜の下で)RELEASE PARTY IN TOKYO』と題した"アツい"イベントが開催だ。新宿LOFT/下北沢Flowers Loft/下北沢SHELTERと場所を変えながら3日間行なわれるイベントは、この時から発売がスタートするスプリットCD『ただ碧い夜の下で』に収録の3曲・収録順にWATERFALL(from 青森県弘前市)/ホワイトルーザー/Bottom TurN(from 福島県いわき市)の3組が3日連続で出演し、各バンドが1日ずつトリを飾る。
CDの発売とイベントの開催を前に、各バンドメンバーとざっくばらんに話をした。話を通してこの3デイズのイベントは、これらバンドと同世代や上の方なら忘れていた何かを思い出させてくれるような日に、若い方であれば歳を重ねるのも悪くない・むしろ面白いのかも、と思ってもらえるような日になるのではと想像する。肩ひじ張らずにふらっと、ライブハウスにお酒を飲みに行くような感覚で遊びに来て欲しい。大人たちが本気で遊び、大人たちが本気で音を鳴らす3デイズは音楽好きの胸を熱く熱く焦がしてくれること間違いなしだから。(Interview:高橋ちえ)
歳を重ねながらもそれぞれ活動を続ける中で、何かを一緒に作りたかった
──この3バンドでスプリットCDをリリース、という経緯から伺いましょうか。
柳沢英則(ホワイトルーザー/ベース):僕は今45歳なんですけど、WATERFALLともBottom TurNとも20代半ばぐらいから友達で。もともと僕がレーベルをやっててオムニバスとかを精力的に出してた時期があって、その時から参加してくれている皆さんでもあって。それぞれ歳を重ねてまだ活動していて、何かを一緒に作りたいなって2年前ぐらいから思ってて、それが実現した感じです。
──遡って、出会った頃のお話も聞かせてください。
ツシマテツヤ(WATERFALL/ボーカル):ツアーでいわきに行った時にHIBIKIっていうバンドに会って、HIBIKIが僕らをやなモン(=柳沢)に紹介してくれて。「オムニバス、出さないか?」って言われたのがきっかけなのかな、確か?
柳沢:そう、HIBIKIが「いわきでWATERFALLっていうカッコいいバンドに会った」って教えてくれて。実際に音源を聴いてすごく良いなって思って、オムニバスに誘ったのが最初。それで対バンをすると皆、人柄も良いので友達になって、それが続いてる感じで。
ツシマ:中野とか高円寺でのライブに呼んでくれて。僕ら今年で(バンドが)20年になるんですけど、もう15〜6年とかの付き合いですね。
柳沢:僕らは今年で25年ですね。
ヒデオ(Bottom TurN/ギター&ボーカル):僕らは20年経つか経たないか、ぐらいの感じです。
ツシマ:何気に皆、長いっすね(笑)。
柳沢:WATERFALLが最初に東京でやった時も僕の家に泊まりに来て、ご飯食べたり酒飲んだりしてね(笑)。今回(=7月イベント時)も、Bottom TurNはホテル取っちゃったって言ってたけど、WATERFALLはウチに泊まりに来ます。そういうのも楽しいんです。
WATERFALL
──Bottom TurNとの出会いっていうのは?
柳沢:いわきで僕らがライブに出た時、「僕らのイベントに出ませんか?」って話しかけてくれたのが最初かな?
ヒデオ:うん、そうだそうだ。「自主企画にぜひ出てください」ってお願いしたら快く出演してもらって。そこから一緒にいわきでやったり東京でやったりと、何回ライブをやったか(笑)。バンドが駆け出しの頃に会って以来なので、長いですよね。
柳沢:あとは打ち上げですよ(一同笑)。打ち上げで飲んで仲良くなって、っていう。
ヒデオ:打ち上げと言えば、最初の時に(ホワイト)ルーザーさんはプロレスの話しかしない人たちっていう感じでした(笑)。僕はあまり詳しくなかったのでチンプンカンプンで、打ち上げの時にその話について行くのに必死でした、全然、音楽の話をしないんだなぁって(一同笑)。それが、今まで続いてるっていうのも良いですよね。
ツシマ:今、思い出したんだけど東京の打ち上げでラーメン屋さんに行った時、全員酔っ払ってて、虫が入ってたのを僕だけ抗議したんですけど「テッちゃん、何、そんなに真面目に言ってんだよ!」って。あれで仲良くなれた気がしますね、今思えば。僕はもともとの性格もあるし田舎者なので、東京の人って怖いんですけど、あの時はスゲー楽しかったなぁって。
柳沢:懐かしいねぇ。
──なんでもないことでスッと仲良くなれて、そのご縁が続いてる。良きです。ではお互いのバンドに対してどんな印象を持っているのか聞きましょう。
ツシマ:ホワイトルーザーはね、醜いんですよね。“醜い”っていう言葉を使ったけど否定ではなくて、整える部分を整えないで出してきたり、カッコつけられるところをカッコつけずに出す。そこが僕はすごく好きで。東京生まれ・東京育ちのバンドなのに、こんなに整えずに出てくる人たちがいるんだ、って。Bottom TurNは同じ東北・地方にいるのに、地方のバンドっぽくない…いわきって何で地方のバンドっぽくないんだろう(笑)っていうバンドがすごく多くて。中でもBottom TurNは、僕の好きなギターロックとかインディー・ロックの要素を持ってる。あと両バンドとも、歌メロが死ぬほど良いっていうのはすごく好きで、僕は2バンドにそういう印象を持ってますね。真面目に言っちゃったなぁ(笑)。
──誤解のないようにですが、褒め言葉として“醜い”と表現しているのはすごく分かります!
ツシマ:そうそう。それこそ僕らもライブ後、高取くん(弘前のライブハウス・KEEP THE BEAT店長)に「今日も醜かったですね!」ってすごく言われますよ(笑)。
柳沢:そこは僕らも似てるところ(=自覚)があって、WATERFALLはライブがスゲーな、カッコいいなって。Bottom TurNに関しては、ギターの音だけ聴いてると涙が出そうになりますね。本当に単純に好きなだけですけど、彼らと対バンすると気持ち良いなぁって。
ヒデオ:(WATERFALLとホワイトルーザーの)2バンドは、僕らとタイプが全然違って、ライブを見て一番感じるのも熱い部分で。その気持ちでぶつかってくるところがすごく好きです。僕らも自然体を大事にやっているバンドですけど、両バンドも自然に自分たちの感情を音に出してきてる。それをいつも感じてますね。だから、今回のスプリットCDはすごく楽しみな3曲が揃ってるんじゃないかなぁ、仲の良い感じでずっとやって来た三者の3曲が、同じようでそれぞれ違う。それがスプリットの聴きどころなのかなって気がしますね。
▲Bottom TurN
──完成したスプリットCD、実際に聴いてみてどうでした?
ツシマ:いや〜、いいっすね。根本的なところが全然変わってなくて、でもちょっとずつクオリティが上がってるのも感じて。長くやっているとクオリティも頭打ちになったりするんですけど、皆、真面目にやってるからだし。自分が好きなバンドだから良いなって思うんじゃなくて、“やることをやってんなぁ”っていう感情で。だから聴いてて、嬉しくなりました。
ヒデオ:レコーディングしてるスタジオの写真を送ってもらってて、どんな曲が出来てくるのかなって思ってたら、ホワイトルーザーはホワイトルーザーでした。曲の入りは“お!?”ってビックリでしたけどね(一同笑)、これは聴いてからのお楽しみですよ。
柳沢:各バンド1曲、3曲入りにしようって。WATERFALLの音が一番最初に出来てきてそれをずーっと聴いてたんですよ。そしたらBottom TurNの音が届いて、それは僕らがもともと好きな曲で、その曲を選んでくれたのがすごく嬉しかったな。それを自分だけ聴いててウチのギター&ボーカル・金子くんにはわざと聴かせずに(笑)、負けじと我々も頑張った感じです。だから俺らの曲の完成が一番遅かったですけど(笑)。
ヒデオ:まさかの!(笑)
──ジャケット写真も映える感じで良かったです。
柳沢:ウチのボーカルが『ただ碧い夜の下で』ってタイトルをつけまして。それからジャケットも作ろうって、皆に「何か良い写真ない?」って聞いて。そしたらBottom TurNが出してきたこの写真を皆が「いいね」って。多数決で、皆で決めました。
ヒデオ:この写真は僕が撮りました、地元の風景です。
柳沢:いわきの風景、っていうのも良いよね(一同うなずく)。