大丈夫なのかなと不安になることもありました
――山田雅史監督とお話しされたことはあったのですか。
中村:作品に入る前の本読みで、涼子の役柄やお勧めのホラー作品を教えていただいて、ホラーの見せ方・怖さの増す演技について教えていただきました。
大倉:僕は台本を読んで疑問に感じたことを山田監督に聞いて、演技プランについて相談させていただきました。本読みの中で山崎健というものを作り上げていったので、現場はそのプラン通りに進んでいきました。
――本読みの段階で作り上げることが出来たということなんですね。
中村:そうですね。
大倉:本当にほぼ最初に演じたままで進んでいったので、二人で大丈夫なのかなと不安になることもありました。
中村:山田監督に伺っても「大丈夫だよって。自信ないの」とだけでしたよね。
――ホラーが苦手だと正解が分からないので、上手くっていても不安になりますよね。
大倉:そうなんですよ。二人で不安になっていました。(笑)
――健と涼子だけでなく、佐々木和也も実は深い事情を抱えていましたね。
大倉:繋がるとは思いませんでしたよね。
中村:イケメンでした。
――売店の方も。
大倉:怪しい雰囲気出ていて、最後までホラーでしたね。
――良くも悪くも見た後に昇華しきれない気持ちが残る映画でした。
大倉:そうですね。
――大倉さんは健が最後にどういう感情を抱えていたと思いますか。
大倉:僕個人としては安心している部分と葛藤している部分が入り混じっていると思います。もしかしたら、涼子と同じことをするかもしれないです。
中村:今の大倉さんの話を聞いて凄い罪悪感が生まれました。
――難しいですよね。「助けてほしい」という気持ちも本物ですから。
中村:複雑ですよね。
――ジョージ一家も巻き込まれて壊れてしまっただけで、元々は普通の人だったかもしれないですね。
大倉:僕個人としては、そうなのかなと感じた部分もありました。
中村:私は猟奇的な部分から、恐怖を与えることで快感を得ている人のように感じています。
――ジョージ一家のような役を演じてみたいという気持ちはありますか。
大倉:面白そうですね。中村さんにはジョセフィーヌとして僕の隣にいてもらいます。
中村:大女になっているかもしれないですよ(笑)。
――そういう新作も観たいですね(笑)。
大倉:そうですね(笑)。
――原作を知っている方も映画ならではの要素で新しい気持ちで楽しめると思います。
中村:そうだと嬉しいです。原作を知っている人も気になっていると思うので、ぜひ観ていただきたいです。この作品は湿度の高い、ジメッとしたホラー映画です。原作を知っている方も知らない方も多くの方に楽しんでいただける作品だと思います。
大倉:それぞれのキャラクターがどういう行動をするのかという点も楽しんでいただきたいです。それぞれのバックボーンがあり、葛藤がある中、それがどう繋がっていくのかという展開を楽しんでもらえたら嬉しいです。『ヒッチハイク』は伏線がしっかりと回収される作品で、1つ1つのシーンに無駄がないので、1つ1つ記憶に収めながら点と点を繋いでいってほしいなと思います。ジョージ一家の恐怖だけでなく、人間としての葛藤やいろいろな気持ちがどこにぶつかっていくのかにも注目してご覧ください。
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