ある夜に居酒屋で出会ったトウドウとモモ。最果てを目指し旅に出る二人。どこかおとぎ話のような雰囲気もある不思議な空気感のある本作で主演の一人であるモモを演じた北澤響。初主演となった本作に対する想いを聞いた。
[interview：柏木 聡（LOFT/PLUS ONE）]
自分で思っていた以上に全力でした
――映画『さいはて』は初めて長編映画で主演作品ですが、脚本を読まれての印象を伺えますか。
北澤響：ラストが凄い印象的で好きな作品でした。
――これまでの越川道夫監督作品は観られていたのですか。
北澤：『海辺の生と死』は観ていました。お話をいただいてから、他の作品も観させていただきました。
――越川監督の作品は詩的で独特な表現も素敵ですよね。
北澤：今の話し言葉ではない印象もありますね。この脚本がどう映像になるのか楽しみでした。
――主演に決まった際は「嬉しかったと同時に不安だった」とのことですが。
北澤：初めての長編主演なので、自分で良いのか・しっかりと主演を務めることができるのかという不安はありました。ですが、不安の気持ちと同じくらい楽しみでした。
――撮影にはどのような気持ちで臨まれましたのでしょうか。
北澤：中島歩さんと一緒に作り上げていければと考えていました。
――今作は二人のシーンが特に多いですが、中島さんはどのような方でしたか。
北澤：寄り添ったお芝居をしてくれる方でした。ラストまで作り上げていくということをやっていくのが楽しかったです。
――モモとトウドウは短い時間のなか全くの初対面から惹かれていきますが、二人の距離の作り方・感情の作り方で意識されたことはありましたか。
北澤：特にコレと強く意識はしたことはなかったです。現場で中島さんとやっていく中で、生まれていく感情を自然と出していきました。
――撮影前、モモという役に対してどのようなイメージをもたれていたのでしょうか。
北澤：撮影前にモモはこういう役だと決まっていたイメージはなく、現場で演じていくなかで段々とモモの輪郭が見えてきました。演じるということは私の体を通って出ていくことなので、私なりのモモになっていると思っています。
――越川監督から言われたことで印象的なことはありますか。
北澤：撮影に入る前に「全てを持ってきて」と言われました。
――撮影前に感じていた作品と完成した作品とで想像と違った部分はありましたか。
北澤：イメージ通りだったと思います。まだ経験が浅いからかもしれないですが、作中の私を観てみると自分で思っていた以上に全力でした。越川監督からも「真っ直ぐにしか走れない女優だね。」と言われていたので、完成作品を観てその言葉に納得しました。
凄く真っ直ぐな子という印象です
――ラストの印象はいかがでしたか。
北澤：映画は終わりますが二人の人生はこれからも続いていきます。観る人にその後をゆだねる形なので人によって違うと思いますが、それが『さいはて』の魅力だと思います。
――北澤さん自身から見たトウドウという男性はどんな人ですか。
北澤：面倒くさい人ですよね（笑）。その面倒くさい部分が可愛いなとも思います、そばにいたら助けたくなっちゃいます。
――モモはどういう女性はどう見えましたか。
北澤：モモは凄く真っ直ぐな子という印象です。
――撮影の中で印象的なことはありましたか。
北澤：森のシーンでは道のないところを無理やり入っていったのが、冒険のようで楽しかったです。きっとモモもいろんなところに行けて楽しかったと思います。
――旅することで解放される部分もありますから、そうかもしれないですね。
北澤：そうですよね。
――おとぎ話のような雰囲気もある作品ですが、北澤さんは現実的な物語として捉えていたのか、おとぎ話のような雰囲気も織り込みながら演じられていたのかどちらでしたか。
北澤：私はメルヘンチックに捉えていた部分もあったかもしれないです。
――本当に不思議な空気感でしたね。それに説得力を持たせられるというのも越川監督の手腕ですね。
北澤：そうですね。
――映画ファンとして観て『さいはて』はどんな作品でしたか。
北澤：自分で言うのも恥ずかしいですが、凄く好きな作品です。越川作品は時間の流れがいいなと思っていたので、この『さいはて』も時間の流れが良かったです。
――おっしゃる通り、ゆったりとした空気感を感じられる作品ですね。
北澤：そうですよね。
