S.U.I SOUND WORKS所属のアイドルグループ「sui sui」。新メンバーを迎えた5人体制になり、ますますパワーアップをしているなかで初期メンバーの百鬼朱紀が卒業を発表。SNSでも普段からアイドルへの想いを綴ってきた彼女が卒業を決意したのは、アイドルに愛があるからこそだった。アイドルオタクからアイドルになった経緯、そこから見えた風景、活動期間のこと、そしてファンへの想いを伺った。写真はデビューライブ当日から五人体制までの様子と、今回のインタビューのための撮りおろし。
sui suiのスーパーアイドル・百鬼朱紀、活動期間を終えてからも彼女の人生がいつも幸せであることをわたしたちファンは祈っている。(interview:成宮アイコ/photo:ヤギタツノリ(たつのん))
アイドルオタクからアイドルになって見えた風景
──sui suiとして2年間活動されてきた百鬼さんがアイドルを目指したきっかけを教えてください。
百鬼:中学生の頃から熱狂的なアイドルファンをしていたんです。最初に好きになったのは、AKB48さんのまゆゆ(渡辺麻友)なんですけど、そのころは「自分もアイドルになりたい」と思ってはいませんでした。中学生の時にエビ中さん(私立恵比寿中学)のファンになって、そこからいろいろなグループが好きになったんです。
──王道のアイドルグループが好きだったんですね。
百鬼:そうですね、初めの頃は王道が好きでした! ただ、アイドル以外では、ちょっと変わったものだったり、まわりのみんなとは違うものが好きでした。『ゲゲゲの鬼太郎』とか(笑)。
──水木しげるからのまゆゆはだいぶ距離がありますね(笑)。
百鬼:はい、自分でもだいぶ差がすごいなと思います(笑)。今、思い返すと、実は心のなかではキラキラしたかわいいものが好きだったのかなって思います。まゆゆは前髪と声が好きになったんですよ。あのころのアイドルって、前髪ぱっつんで触覚があってっていうアイドルっぽい人はめずらしかったので、そこがすごくいいなって惹かれました。AKBさんにはすごくハマりましたね。YouTubeで動画を観ていると、関連動画にいろんなおすすめが出てくるので、そこからももクロさん(ももいろクローバーZ)に行って、エビ中さんに行って……っていう感じで好きになりました。
──アイドル側になりたいっていう気持ちのステップはいつ訪れたんですか?
百鬼:中学生の時はいわゆる地上と呼ばれるアイドルが好きだったんですけど、高校生のころに地下アイドルにハマりはじめたんです。近距離でアイドルを見るようになってから、「自分もこんな風に表現したい」っていう気持ちが芽生えたんだと思います。
──地上の大手グループのコンサートに行っていたところから、地下のライブハウスに行くのは状況として驚きませんでしたか?
百鬼:エビ中さんのライブも、大きいところから小さいところまで行っていたので大丈夫でした。でも、今思えば全然小さくないんですけど(笑)。当時はZeppでも、「めちゃくちゃ近い!」って感じていたんです。そうやってホールからライブハウスへ段階を踏んでステージとも近くなっていったので、現場に圧倒されるよりもとにかく楽しい気持ちが強くて、順番に雰囲気に馴染んでいった感じですね。
──そうやってアイドルとの距離が近くなって、いざ応募するときにどうしてsui suiだったんでしょうか。
百鬼:もともとは、入りたい事務所があって何度もオーディションを受けたんですけど、書類で落ちたり面接で落ちたり。5〜6回は受けました。でもダメで。そうなったらもうその事務所にこだわらなくても、自分のやりたいことややりたい楽曲ができるところがあるんじゃないかと思って、視野を広げて募集を見るようになったんです。そこで、たまたま見つけたのがsui suiでした。……なんか、普通のグループじゃないなって感じがしたんです。
──変わったもの好きセンサーにひっかかったんですね! 最初はどんな印象でしたか?
百鬼:ちっちゃい事務所です感も出ていたし、募集の動画もなんかちょっと変だったんですよ(笑)。それに、運営の鉄平さんのことはSNSでフォローをして知っていたので、「この人のところなら大丈夫だな」っていう信頼感もありました。(※ここで同席していたsui suiスタッフが爆笑)
──最初のライブのことは覚えていますか?
百鬼:すごく覚えています! 自分の名前を叫んでくれる人がいたり、自分の特典会に並んでくれる人がいたり、そういうのを初めて体験したので、「こんなに幸せな気持ちなんだ」って感じたのをめちゃくちゃ覚えています。
──それまでは応援する側にいたのに、逆の立場からの風景も見られるってすごいことですよね。
百鬼:自分がアイドル側になったっていう実感もまだなかったので、わたしで大丈夫かなって心配になりました。ちゃんとアイドルができているのかな、アイドルとして成立しているかなって不安で。
──いつごろから、「自分はアイドルになれたな」って実感が出ましたか?
百鬼:今も、自分がアイドルっていう実感はあんまりないかもしれないです。ただ、自分だけを好きになってくれる人がいたり、自分がきっかけで人生が変わったって言ってくれる人がいて、これまで自分がやってきたことは正解だったんだって思いました。