伊集院香織による紅一点バンド「みるきーうぇい」。そのバンド名からは甘い綿菓子の様な歌を歌っているだろうと思われがちですが、実はバンド名とは裏腹に痛々しく感じるほど深い言葉たちが突き刺さる優しい棘を持った女性。
そんな彼女に様々な視点から話を伺う事が出来ました。「みるきーうぇい」の名前は聞くけど一体何者? と感じる人ほど読んで欲しい。勿論、彼女の事が大好きな方も是非ご拝読をお願い致します。(新宿ロフト 樋口寛子)
自分の中では「活動休止」という言葉は出てこなかった
──最近の近況を聞かせてください。
伊集院:一昨年、去年と自主で2枚のミニアルバムのリリースをしたので、その2枚を持ってライブを沢山しています。
──今年、音源発表はなかったのでしょうか?
伊集院:来年はリリースが出来たらなと思っているので、新曲を作りつつライブでお披露目している感じですね。
──最近、MVを2曲公開しましたよね?
伊集院:去年リリースしたアルバムの中から人気の高い曲や5年前からあった曲を今になってMVにしました。
──MVにしようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
伊集院:サポートメンバーを入れつつ一人で活動をしているのですが、活動をどうしようかと思った時に、自分の中では「活動休止」という言葉は出てこなかったので一人でも出来る事をやっていこうと思い、今年の春に「世界で1番悲しい事」というMVを公開しました。昔からファンだった方に「やっとMVにしてくれて嬉しい」と言ってもらったり、その曲きっかけにみるきーうぇいを知ってくれる方もいて。「新曲をリリースしないとMVが作れない」と自分の中で勝手に思っていたのですが、昔からある曲をMVにするのは嬉しい事なんだと感じました。新規の方に知ってもらえたのがとても嬉しかったので、半年後にまた人気の曲をMVに出来たらと思い、昨年リリースしたアルバムから「朝焼」をMVにしました。
男性バンドへの憧れが強かったですね
──現在、ライブを軸に活動をしていますが、一人で活動をしていくのは大変だろうなと感じるのですが実際の所はどうでしょうか。
伊集院:バンドメンバーと一緒にやっていた時に、どうしても自分だけが突っ走ってしまいメンバーがついてこれなくなって。でも一人で活動をするようになってからは、自分がやりたい事を自分のペースで突っ走った方が自分は合っているのだなと感じました(笑)。自分には今の活動スタイルが合っていると思います。
──伊集院さんが音楽を始めようとしたきっかけは何だったのでしょうか。
伊集院:ピアノを幼少期の頃から習っていて。それで何となくは好きだったのですが、中学生になった時にブラスバンド部に入部して。その時に初めて音楽を人と合わせるのは楽しいなと感じて。高校生になって吹奏楽部に入ろうと思ったのですが、軽音部の人たちが新入生歓迎会ライブをしていて。その時にバンドってかっこ良いなと思って。自分がBUMP OF CHICKENにハマっていた事もあり、「バンプと同じような事をしたい!」と思い、吹奏楽部より軽音楽部だなと思い入部したのがきっかけですかね。
──オリジナルの楽曲はいつから書くようになったのでしょうか。
伊集院:高校2年生の時に先輩たちがオリジナル曲を演奏していて。それに憧れて書くようになりました。最初は「オリジナル曲なんて書けるのかな?」と思ったのですが、書いてみたら凄く面白い事だと思って。もしかしたら私、曲を書くのがめちゃくちゃ好きかもって思い曲を作るようになりました。
──みるきーうぇいはいつからバンドではなくソロ活動に転向したのでしょうか。
伊集院:バンドにしたくてずっとスリーピースバンドとして活動をしていたのですが、ドラムが2014年に脱退し中々メンバーが決まらなくて。こだわり出すとどうにも決まらなくて。メンバーは男性で探していたのですが、どうしてもバンドメンバーとしてぶつかり合うとどうにも上手くいかない所も出てきてしまって(笑)。
──紅一点で演奏するという見た目のこだわりもあったのでしょうか。
伊集院:ガールズバンドも好きなのですが、やりたいものがガールズバンドではなかったので。めちゃくちゃ好きでバンドをやりたい! と思えたのは、BAMP OF CHIKKINEやRADWIMPSだったので、男性バンドへの憧れが強かったですね。
──伊集院さんのライブを初めて見た時は正直「暗い曲を歌う女性だな」と思いつつもなんか気になる女性だなという印象でした(笑)。でも年々、前に向けてパワーがとても強くなっていく姿にとても惹きつけられます。
伊集院:嬉しいです。昔はとても捻くれていたなと思います(笑)。ある時に「このままただのメンヘラバンドに終わりたくない」と思って。失恋したのがきっかけだったのですが、別れた時に「このまんま終わったらダメだな」と思って(笑)。自分はちゃんと人に見てもらいたいし聴いてもらいたいし、売れたいしと感じた事がとても変わったと思います。
──みるきーうぇい名義と伊集院香織名義での活動があるかと思いますが、その違いは何でしょうか。
伊集院:自分はバンドの中に伊集院香織がいるし、弾き語りでもバンドの曲は演奏するのでバンドとソロは連動しているイメージですね。違いがあるとしたらバンド編成は「ロックがしたい!」という気持ちが強く、自分の好きなバンドへの憧れが強いので音に込めているのですが、弾き語りの時は歌詞を聞いて欲しいという気持ちが強くて。バンドの時もその気持ちは強いのですが、弾き語りの時は更に自由度を増して出来るのでそこに面白みを感じています。インパクトが強いという意味ではバンドで演奏をした方が強いのですが、弾き語りで演奏する曲は大切な意味を込めて演奏している曲が多いというか。
今までを振り返っても1番曲を作った1年でしたね
──2018年はみるきーうぇいにとってどんな1年でしたか。
伊集院:2017年末に「eo music try」というコンテストがあって、そのコンテストに向けて必死で活動をしていたの事もあって審査員特別賞を頂いて。3年前に出演した時は賞を貰えなかったのですが賞を貰ったので嬉しい気持ちもありましたが、優勝が出来なかったという悔しい気持ちもありつつ。そこで当時のメンバーとモチベーションがお互いに合わないねという話になり、メンバーが抜ける事になって。ファンの方に心配をかけてしまいましたが、意外と自分の中では不安がなくて。猛進しなきゃいけないと逆にエネルギーが湧いてきた事もあり、今までを振り返っても一番曲を作った1年でしたね。
──今年は制作面がとても充実していたんですね。
伊集院:15曲位は作りましたね。出たいライブに出演しつつMVにしたかった2曲をMVにしたりと結構好き勝手に活動をしていました(笑)。来年は水面下で作ってきた曲達を表に出るようにするのが目標ですね。
──来年も良い1年になりそうですね。
伊集院:「新曲はまだかな」とうずうずしてくださるファンの方もいそうだと思い沢山曲を作っていたので、来年待っていてください! という気持ちですね(笑)。
──11/27LOFT HEAVENにて伊集院香織名義でのソロワンマンが予定していますが、どんな公演になりそうでしょうか。
伊集院:「ファンの方には今の自分を見せたい」と思った時に弾き語りワンマンというのも良いなと思って。数年前までの暗い自分だったら出来なかったと思います(笑)。今なら色んな局面の自分も出せると思って。やっぱり今年は曲が色々と出来たのでそれを聴いてもらいたいというのはありましたし、昔の尖った部分がよく出た自分と、今ある優しい曲もあるし優しいふりして尖っている曲もあるので今なら色んな自分を見せれるなと思います。
──弾き語り公演をした時のお客さんの反応はどうでしょうか。
伊集院:「めちゃくちゃ良いね」と言ってもらえて凄く嬉しかったです。弾き語りの時は歌詞がしっかりと聴ける事もあり喜んでもらえますね。自分歌詞を凄く大事にしていて頭を抱えながら書くタイプなので、それをしっかり聴いてもらえる。みるきーうぇいのお客さんも歌詞が好きという方が多いので、しっかりと聴ける事が良いみたいですね。
メジャーデビューがしたい! という目標ができました
──みるきーうぇいにとってライブはどんなものでしょうか。
伊集院:昔はさらけ出す事をやり過ぎたかと思っていて。自分の感情や衝動を全てさらけ出すみたいな感じでしたが、今はファンの方達と一緒に共有するというかぶつかり合う事が出来ないとダメだと思っていて。一人でさらけ出すものではなく、お客さんもさらけ出せるような形でさらけ出さないとダメだと思うようになりました。
──みるきーうぇいにとって新宿ロフトはどんなイメージですか。
伊集院:ロフトは自分が思っていたライブハウス像と近いイメージです。スタッフさんも良くしてくれて、演奏しやすく、総じて色んな面で演奏しやすく安心してライブが出来るイメージですね。
──今後、みるきーうぇいとして目指している事を聞かせてください。
伊集院:インディーズのメンヘラバンドで終わりたくないという気持ちが芽生えた時にちゃんとメジャーデビューがしたい! という目標ができました。
──好きで始めた時はメジャーデビューを目指していた訳ではなかったのに、活動していく上で心境の変化があり今では堂々と「メジャーデビューがしたい!」と声に出して言えるのは凄く素敵な事に感じます。
伊集院:言うのはおこがましいかなとは思っていたのですが、ちゃんと言っていかなきゃいけないなと思って。口に出したら誰かが協力してくれるのも感じているので。
──最後に読者に向けてコメントをお願い致します。
伊集院:一人でバンド活動はしていますが、本当にファンの方に支えられ周りの人たちに支えられて、一人でやっているけど一人じゃない感覚で活動が出来ているので、数年前と違うのはそこが一番違うので皆さんのお陰です。11/27 LOFT HEAVENの弾き語りワンマンや12/27新宿ロフトでの年末公演はそれの集大成的なライブが出来るように頑張りたいので見に来てくれると嬉しいです。