2018年7月7日(土)のZepp Tokyo公演にて結成11周年を迎えたvistlip。21作目のシングルとなる『BLACK MATRIX』で描いた世界観と、制作にあたりこだわったポイントを智(Vo)、Yuh(Gt)、瑠伊(Ba)にインタビューした。web版ではvistlipの今後の目標や、自分が気になっていたことについてのインタビューも掲載される。これを読んだ上で『BLACK MATRIX』を聴いて、vistlipの魅力をさらに感じてもらいたい。
[interview:太田龍一郎(新宿LOFT)/構成:河西香織(新宿LOFT)]
バラが示す意味
——11周年目を迎えて最初のリリースとなるシングル『BLACK MATRIX』ですが、タイトルでもあるこの曲がリードトラックとなった経緯を伺いたいのですが。
智:(TVアニメ『千銃士』のエンディングテーマ曲の)お話を頂いて、何曲か送った中から先方が選んだって感じですね。
——バンド自身が選んだのではなく?
智:どれになってもいいという状況にはしてあって、その中で向こうが選んだものにしようっていう感じでしたね。
——そうなんですね。この曲の作詞は智さんですが、歌詞は何から着想を得て書いたものですか?
智:タイアップの曲なので、最初にその打ち合わせみたいなものがあったんです。歌詞重視な感じだったので、どういう歌詞がいいかっていう話し合いだったんですね。一番大事にしたいところが、誰か憧れの人とかがいて、その人に対しての姿勢だったりとか、そういうものがすごい重要っぽかったので、自分なりにフィルターを通して、主人公が花で、その花が恋してしまった人とかそういうイメージで人間がいて、主人公の花はその人に対してどう生きていくかとか、どういう花を咲かせるのかとか。人間と花なのでどうしても想いが届かないじゃないですか? その中で生まれてくる欲求がどんな色をしているのかとか、そういうところに置き換えて書いてみました。
——歌詞とMVと曲名を見て自分なりに考えていたのですが、曲の真意にたどり着けず…。バラが題材だったのには何か意味があったんですか?
智:バラはすごくアニメに通ずるものがあって、結構キャラクターのこととかも考えたりはしたんですよ。アニメでは主人公は見えていないんだけど本当はいて、その人のために命を懸けるじゃないけど、そういうイメージがあったりしたので、そういうところからヒントを得て。シンボルじゃないですけど、バラっていうものがすごく出てきて、バラを題材にするのが初めてですごく調べたら、色から本数まで全部意味合いがあるっていうことだったので、使ってみようかなって。赤のバラはすごく愛に溢れているんだけど、黒がぽつっと一つあって、純粋な想いの中に一つ生まれてしまう黒い気持ちだったりとか、そういうのがすごく人間味があるなと思って、自分の歌詞にも上手く入れ込めるかなっていう感じです。
——short ver.のMVが公開された時に、最後の歌詞の数行を智さんがすごく考えたっていう海さん(Gt)のコメントがあったんですが、最後の方の映像とも絡まっているんですか?
智:そうですね、直接的に歌詞で表現はしなかったんですけど、せっかくMVというものがあるので、そこで答えじゃないけど、本当はどういう気持ちだったのかっていうのを映像で表現して。赤いバラの中に一本だけ黒いバラがあるっていうのを初めて見せるというか、全部絡めて一つの作品にした感じですね。
——その辺りも注目してMVを観たら、さらにこの曲を理解出来るという感じなんですね。【lipper】に収録されている『Original Words Complex』と『The Other Side』の2曲は、『BLACK MATRIX』とはまた違う感じがして、その中でも歌詞が尖っている印象だったんですけど、智さん的に心境の変化のようなものがあったんですか?
智:そうですね、『Original Words Complex』の作詞をしていた時が丁度ツアー中だったんですけど、バンドの勢いというか、業界自体だったりとかがすごく衰退していく中で、それでも自分たちはファンと一緒にすごく輝いている瞬間だったり、音楽っていうものを楽しんでて。バンドのブームだったりがあったり、全体的に見れば衰退しているかもしれないけど、自分たちはすごく生き生きとやってるというか、前を向いて楽しくやってるっていう強気な意志だったりとか、そういうものを表現したくて書いてみましたね。『The Other Side』の方は、ステージから見るファンというか、いじりとかも交えつつ(笑)、大事に思っているファンのことを描いた感じですね。テイストは、一年間ずっと思ってたんですけど、昔の自分みたいな書き方をしたくて、久々にそういう初期っぽい自分の書き方が出来たかなとは思ってます。
——ミニアルバムの『GLOSTER』(2013年1月リリース)の中の『Pinocchio』も、すごく尖ってるなって感じたりもしました。
智:あ〜、あれはもう本当にただ尖ってた(笑)。
一同:(笑)
——結構、珍しいのかなって思ったんですが…。
智:最近ではそうかもしれないですね。
各々のこだわった点
——『BLACK MATRIX』の【lipper】に収録されている3曲の中で、こだわった点は何ですか?
智:僕はレコーディングの時の声で、感情だったりとかっていうのを伝えたいなとは思って。特にリード曲はそういうところがしっかり吹き込めたかなとは思ってます。
——瑠伊さんは?
瑠伊:僕は前回タイアップがついた時に、テレビで流れたものを3日後くらいとかにYouTubeでベースがコピーされてる動画が上がってたのを見つけて、それがすごく嬉しかったんですよ。なので、今回もそういうコピーしてくれる方々がちょっとグッとくるようなフレーズっていうものを、グッとくる上にさらにちょっとコピーしやすいように簡単にしようと思って、そういうのをこだわりながらフレーズを考えていきましたね。
——サビからのうねり始めるベースがすごく格好いいなって思って聴いてました!
瑠伊:有難うございます!
——Yuhさんはどうですか?
Yuh:俺は多分、自分自身がフレーズに対してのこだわりっていうのが思ってるほどなくて。うちのバンドって、曲に対して基本的にNGみたいなのがないから、どちらかというとアンサンブルもありつつ自分のやりたいものだけを出せてるので。制限のある中でここだけはこだわりたいっていう感じじゃないんで、ちょっと伝えるのが難しいんですけど、多分こだわらなくても自然に自分のやりたいことが出せちゃってるんで、特別にっていうのはないっちゃないんですよね。その中でこだわりじゃないんですけど、どの曲でもギターの音を媚びないじゃないけど、ちょっと小さくして大衆向けにしようとか、ギターの音をちょっと柔らかくして聴きやすくしようとかはなくて、本当に自分の好きな音、ちょっとメタル寄りだったりとか、そこは残しつつで表現してるところが、強いて言うならって感じだと思います。
今回の衣装は、“DA PUMP”!?
——今回の衣装でのこだわった点やお気に入りの点はどんなところですか?
瑠伊:いつもは結構ゴテゴテっとした衣装を着ることが多いんですけど、夏なのでちょっと清涼感があるというか、生地感的にも結構涼しそうな物を使ってもらって、着けてるアクセサリーもいつもと違ってちょっと民族寄りな物を今回はチョイスしてみましたね。
——衣装などは海さんがデザインされてると思いますが、以前に瑠伊さんのブログにすごく衣装で気持ちとかステージングが変わってきて、それがヴィジュアル系の良いところという内容が書かれてましたが、特にこだわってる部分とか、それによって気持ちが変わったりするのかなって思ったんですけど。
瑠伊:基本的にどの衣装でも、ボトムスはちょっとヒラっとしていたいっていうのがこだわりであって。僕って結構くねくねすることが多くて(笑)、足を一本化することによってより表現できるかなっていうのがあって、そこはこだわりで毎回太めのゆるっとしたのにはしてますね。
——Yuhさんはどうですか?
Yuh:俺は瑠伊ともちょっと似てるんですけど、下に広がっていく形が好きで。前回も前々回も巻きスカートを巻いてたり、去年の七夕はスカートになってて、みたいなのが多くて。ヒラヒラするのとか広がるのがよくて、海には毎回それを伝えてて、今回はワイドパンツみたいなのでスカートに見えるっぽい感じにしてもらって。シャツもそれこそ去年の『July VIIth [Re:birth]』のMVで着ていたのみたいな、ちょっと長めのシャツがいいかなっていうのを言って、選んでくれたやつで。足が細いからライブとかで足を開いたりすると、タイトなのだったら大丈夫なんですけど、ちょっとワイドで生地感が薄いと膝を曲げた時にすごくシルエットが悪くなっちゃって、そういうのが嫌でみんなが言う体型隠しじゃないけど、そういう意味みたいなのも入ってます。
——智さんは、インナーが結構スポーティーな感じだなと思ったんですが。
智:僕は基本的に海の着せ替え人形なので。
一同:(笑)
智:彼の今回のコンセプト曰く、“DA PUMPインスパイア”らしいですね。
瑠伊:全体的にちょっとスポーツミックスを意識したって言ってました。
——衣装に関して、全体的にこういう感じで揃えてるっていうのはあるんですか?
智:ないですね。スポーツ要素が入っていればっていう感じだったんでしょう。でも自分たちらしいっていうところだとそういう部分もあったりすると思うので、あんまりヴィジュアル系に特化してないイメージだったりとか、そういう部分なんじゃないかな。せっかくタイアップだったので、そういうところを見せたいなという感じだったんじゃないですかね、海は(笑)。
・・・全文は後日webRooftopにて公開!