脅威的スピードで作品を発表しつづける異能のシンガーソングライター・町あかりと、八面六臂のオールラウンドプレーヤー・姫乃たまによる定期イベントが、3/4よりLOFT9 Shibuyaにてスタートする。昨年リリースした姫乃たまソロ・アルバム『もしもし、今日はどうだった』(全曲町あかりプロデュース)で、本格的共作を果たした2人に、出会いから現在に至るまでについてお話を聞きました。[interview:石崎典夫(LOFT9 Shibuya)]
好対照の2人
――町さんとたまちゃんって、それぞれでは出てもらってますけど、お二人でのイベントは初めてだなと思って。そもそもの出会いっていつになるんですか?
町あかり(以下、町):そもそもは、何だっけ?(笑)。
姫乃たま(以下、姫乃):マーライオンくんって弾き語りをする男の子がいて、彼の主催イベントに呼んでもらった時が最初ですね。
町:5年ぐらい前かな。
姫乃:もうちょっと前かも、町さんまだ学生だったような……?
町:全然そうだと思う。
姫乃:町さんは準備がよくて、たしかレコード大賞を受賞した時に流れるファンファーレの音源とかを用意して、それを流してから歌うみたいな、すごく凝ったことをやっていました(笑)。
町:そうだっけ? 全然覚えてない(笑)。
姫乃:にゃはは。私は当時から、ちゃらんぽらんだったので、現場に付いてから「何、歌おう?」みたいな(笑)。そこからかなり時間が空いて、町さんに作曲の依頼をしてから、ぐっと仲良くなりましたね。
町:そうだね、それが2年前ぐらいですね。
――そうなんですね、町さんに曲を書いてもらおうと思ったキッカケって何だったんですか?
姫乃:いやあ、やっぱり最初に観たライブと楽曲が忘れられなかったんですね。
――最初に町さんの曲を聞いた時の印象ってどうでしたか?
姫乃:最初に聞いたのは、『もぐらたたきのような人』だったかな。すごい衝撃でした。トラックも素晴らしいし、歌詞もすごくいいなあと思って。今までずっと自分で作詞してたのですが、町さんなら両方頼みたいと思って、最初に作ってもらったのが『たまちゃん!ハーイ』でした。いきなりワルツの曲調が届いて、これはヤバいなと(笑)。で、次にアップテンポな曲調でお願いしたら、『おんぶにダッコちゃん』を作ってくれて。
――両方とも、たまちゃんのキャラにピッタリの曲ですよね。
町:たまちゃんにしか歌えない曲です(笑)。
――曲についてお二人で話し合ったりもするんですか? ここをこうして欲しいとか。
姫乃:いや、作って下さい、は~い、みたいな感じで。
町:勝手に作らせてもらってます(笑)。アルバム作った時は、何かあったっけ?
姫乃:うーん、打ち合わせで「バブみ」をテーマにしようとかなんとか話したような。
――バブみ?
姫乃:年下の女の子に対して男性が母性を覚えるみたいなネットスラングなんですけど、それがすごく気になっていて。同時に町さんのマネージャーの豊岡さんから、アメリカでヒットした『人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ』という本を教えていただいて、場所の取り合いをしちゃいけないとか、仲良く遊ばないといけないとか、そういう子供の時は分かってたけど分かんなくなっちゃったね、という内容なんですけど、疲れている男性たちの癒しになるようなアルバムになればいいなと思ってました。図らずも、アルバムと関係なく先に提供してもらった二曲が、そういうテイストにだったので、ちょうどよかったです。
町:全然知らなかった、たしかにそうだと思います(笑)。
姫乃:にゃはは! 話したよ(笑)。町さんのこういう性格がすごく良くて、私が考え込んじゃうタイプなので明るく構えてくれて頼もしいです。
――じゃあ制作もスムーズに進んで。
町:あ、唯一苦労したのは、『ああ人生、迷子丸』という曲がアルバムの最後にありまして、私、曲を作る時って、タイトルから曲を考えていくんですけど、先に曲があって、そこに歌詞を載せるというのをやったことがなくて、どうしたらいいか分からなくなって。
姫乃:珍しく作詞で一週間ぐらいかかってたね。でもいい歌詞になってよかったよう。ライブの時は、豊岡さんがお客さんに歌詞カードを配ってくれて、みんなで歌うんですけど、歌声喫茶ってこんな感じだったのかなあって(笑)。