今年5月から毎月1回、SHELTERとの共同企画"Tokyo Special Sauce"を開催してきたBimBamBoom。彼女たちはここで何を得て、成長し、そしてどこに向かっていくのか?! 大注目の最終回は12月20日、集大成のワンマンライブ。これから先もどんどん変化してゆく彼女たちの音楽を、一瞬たりとも見逃すことはできない。(interview:川本 俊・安 佳夏[下北沢SHELTER] )
BimBamBoom結成秘話
——BimBamBoomの結成の経緯を教えて下さい。
山口美代子(Dr.):もともとコンセプトがあって、私と仕掛け人のおじいちゃんプロデューサー(S-KENさん)がいるんですけど、S-KENさんと久しぶりに再会した時にドラムがメインのインストバンドって面白いんじゃない? って話になって、イメージとしてはGalacticとかがフジロックに来てた頃だったので、そこらへんのことから。私はS-KENさんと20代の時に一緒にいろいろと仕事をしてたんですけど、ファンクとかブラックミュージックをルーツに持つアーティストのサポートとかをやっていたので、そこから私はがっつりロック畑に行ったんですけど、また戻ってきて、ファンクインストバンド…言っちゃえばニューオリンズのThe Metersみたいなバンドをやってみようという話になって、メンバー探しをしたっていう…。なかなか他には無い始まり方かと。
——メンバーは美代子さんが探したんですか?
山口:私も探したり、いろんな人のツテをたどったりをして、まず集まってきたのがベースとキーボードの2人で、ギターはなかなかいなくてちょっと時間がかかって、愛子のことは頭にはあったんだけど、当時、愛子はBAND Aをやってたし忙しいから無理だろうなあと思ってて。でも本当に誰もいないってなって愛子を呼び出して、「岡さんすみませんが…こういうバンド興味あります…? 」って言って(笑)。下北の新台北で(笑)。そしたら、今まで愛子もやってきてないジャンルだから興味はありますみたいに言ってくれて。そこからスタジオでみんなでセッションしたり、最初はカバーをやったりっていう感じでしたね。ちょっとずつライブもやっていって。ひどいときは1年に2回くらいしかライブやらなかったですね(笑)。もともと、みんながそれぞれある中での1つ、っていう感じでくらいでしか動いてなかったので。ライブを結構やるようになったのは去年から。去年CDを出せて、そこからっていう感じですね。
——愛子さんは声をかけられたときはどうでしたか?
岡愛子(Gt.):ずっといわゆる日本のギターロックというジャンルをやっていたので、いいかげん自分のギターに限界を感じてたんですよ。それでどうにかしなきゃ、どうしよう、ってなったときに、「おしゃれで難しそうでよくわかんないや!」ってずっと避けてたブラックミュージックと言われるものに、いいかげん着手しなければいけないって気づいて。日本の好きなギタリストもだいたいみんなそこ通ってるんですよ。それで、学習しなきゃいけないけどどうしようかな、何から手つけていいかわかんない、どうしよう! ってなった時にちょうど美代子さんが声かけてくださって、ラッキー! と思って(笑)。それで加入させていただきました。
毎月のイベントは「楽しくてしょうがない」
——BimBamBoomは最初、今年の1月にVOLA&THE ORIENTAL MACHINEとツーマンで呼ばせていただいて、それから共同企画Tokyo Special Sauceが5月から始まったのですが、やはり企画をSHELTERでやっていただけるのは1月のイベントが大きかったですか?
山口:1月のイベントもあったし、スタッフさんたちがフジロックで見てくれたりっていう熱がすごく嬉しくて、それまでうちらがやってきたところはもうちょっと大人っぽいというか、新世界とかVaritとかで。いわゆる対バンっていうのをあんまりしてこなくて、自分たちのイベントとしてワンマンぽくやってたことが多かったので。とにかくロックシーンに行きたかったんですよ。今のバンドと対バンをどんどんして、なんというか、やりあいたかった。それで、SHELTERでできたらいいよねぇっていうのはもちろんあったんですけど、そしたらちょうど1月に声をかけてもらって。周りの人たちの反応も結構「SHELTERとか似合うじゃん! 」って感じで「いけるかな!?」って思いましたね。新世界なんかは椅子もあるようなとこだったし、スタンディングのSHELTERみたいなとこでいけんのかっていう不安もあったんですけど。もっとライブハウスみたいなところでやりたいっていうのはずっとあって。
——12月まで毎月開催というハードなスケジュールになってますが。どうでしたか? まだ終わってないですけど(笑)。
山口:うちら的にはもう楽しくてしょうがないですよ。
岡:全然ハードじゃないです。…ハードって言ったほうがいいのかな(笑)。1回終わったらまた次があるから、新たな目標がもう目の前にあるっていうか。次もっといこうぜ! っていう気になりますね。楽しくやらせてもらってます。
音楽人生史上1番のびっくり
——これまでのTokyo Special Sauceの中で印象的だった月や、バンドはいましたか?
岡:1個だけピックアップするのってあれですけど…私はギタリストなのでギタリストとして言わせていただくと、やっぱりROSのHIROKIさんのギターの音はもうびっくりしましたね。音楽人生至上1番ビックリしたんじゃないかという音でした。爆音で、でもただの爆音じゃなくて、会場全部を埋め尽くすギターの音というか。全空間を取り巻くギターの音というのは初めて聴きました。
山口:すごいシンプルなセッティングでなんでそんな音出せるの? みたいな感じだったよね。リハのサウンドチェックも一瞬で音作っちゃって「えっもう終わり? もうタバコ吸ってない? 」みたいな(笑)。すごい迫力でした。すごい爆音だけど芯があるし、さすがホールクラスを渡り歩いてきた人の音だなっていう。あそこはメンバーもやっぱりすごいから、爆音にもやられたし来門くんのラップの強烈さもあって、うちら本当にこの後ライブやんのかなっていうのは、あの時初めて思ったかな。あれは怖かったな、1番。でも意外とそういう日に限って「今日ライブ良かったね」とか言われたりして、そういう力ももらってる気がします。毎月トリでやらせてもらってるから、そのプレッシャーを越えていく面白さっていうのもあります。メンバーみんなめっちゃ強くなったんじゃないかなって。
岡:それぞれ毎月色が違って、毎回面白いです。ありそうでなさそうでありそうでない! みたいな組み合わせだから、毎回それぞれ違う刺激はいただいています。
山口:私はほとんど初めましてのバンドが多いんですけど、やっぱ初回のManhole New Worldと、チーナとHealthy Dynamite Clubが印象的ですかね、マンホールとかめっちゃかっこ良かった。いい要素を持ってるミクスチャーバンドだなと思って。BimBamBoomもファンクって言ってるけどそっちに行きたいんですよね。いろんな要素を持ってるロックバンドと戦いたいと思っているので、1発目から「きた! 」っていう感じがして嬉しかった。
——7回目までやってきて、バンドの変化や進化などはありましたか?
山口:まあ愛子が飛び降りる回数は確実に増えましたね(笑)。今日もいく!? みたいな(笑)。
岡:増えましたね(笑)。あれは別に絶対に飛び込むぞって前から決めてないんですけど、その時の気持ちでどうかなってるので、たまに飛び込まない日もあるんですよ。そうすると飛び込まなかったねってなるので(笑)。自分に素直にライブできればなって思いますけど(笑)。SHELTERは飛び込みやすいです(笑)。1回人の上に綺麗に乗っかった時もあって、人生初でした。それこそロックバンド、じゃないけど前まではおしゃれ箱、大人箱でしてたので。演奏するってところではしてたけど、ライブバンド! っていう感じはそこまで強くはなかったと思うんですけど、この企画によってそれはかなり強まったっていう印象は多分みんな感じてるんじゃないかなって思います。
山口:本当にそうですね、ビデオを見ても1年前とは違うし。狙い通りですけど(笑)。SHELTER様様です。
——そして、12月はワンマンです。今の気持ちを聞かせてください。
山口:まだセトリも曲も全然並べてない状態です。SHELTERは3マンなら40分とかで、40分で魅せるステージで鍛えられたまんま1時間半とかできたらいいな〜っていう考えはありますね。勢いあるまま突っ走る、潔い1時間半ができたらいいなと思っております。
岡:衝撃喰らえ! という気持ちで挑みたいと思います(笑)。
BimBamBoomはもっと面白くできる
——今後バンドの目指す目標や展望などはありますか。
山口:私としてはまた、インストバンドの強みとも言えるかもしれないですけど、ワンマンにボーカルだったりトランペットだったりサックスのゲストを呼んでやるコラボ的なことをやっていけたらと思っています。SHELTERを経て、またいろんな良い影響をもらったり、今度は与えられもするんじゃないかなあと思って。それがバンドになっちゃっても良いかな、みたいな(笑)。個人的には思っております。今回の企画でいろんな人にも出会えたので。
岡:もっと色々と面白くなれば良いなと思ってます。今回SHELTERで毎月イベントをさせていただくことで、1つの形ができたと思うんですよ。でもこのバンドはみんな聞いてる音楽も感覚も服のセンスもそれぞれいい意味で違いがあって、これからいかようにももっと面白くできるなと思って。ジャンルも演奏もなんでも、見た目も(笑)。いろんなBimBamBoomを自分で知りたい。いろんな展開をしていければ良いなと思います。