LOFT9で毎月開催している映画好きが集まっておしゃべり三昧な全員参加型トークイベント「映画ファンの集い」。毎月100名近くの参加者が、好きな映画のことだけを語り合う3時間ちょっと。年齢も客層もバラバラで、参加要項は"映画好き"というただ一点のみ。一見さんでも気軽に参加できるこの会の代表・なみこさんにお話を聞きました。【interview:石崎典夫(LOFT9 Shibuya)】
気がついたら副代表に
――お客さんからよく聞かれるんですよ。「毎月やってる『映画ファンの集い』って、どんなイベントなんですか?」って。それで今回インタビューさせていただこうかと。
なみこ:ありがとうございます。
――まず僕がビックリしたのが、初めての方でも参加しやすいようにテーブル毎にトークテーマが決まっていてどこに参加してもいいという仕組みや、テーマの豊富さ(新作はもちろん監督、ジャンル、「不評だけど自分は好きな映画」というテーマも)とか、最後に映画にまつわるプレゼントコーナーがあったり、すごく参加しやすい雰囲気を作ってますよね。もともとはどういうキッカケでこの会が始まったんですか?
なみこ:そもそもはネットのオフ会でした。私も参加者の1人だったんですけど、2014年のアカデミー賞の授賞式中に、司会のエレン・デジェネレスがピザの出前を頼んだ時があって。
――授賞式中に?
なみこ:ええ。皆にピザを振る舞うというパフォーマンスで。
――シャレたことしますねー(笑)。
なみこ:それを見て、皆でピザ食べながらオフ会やりたいねという話になって、30人ぐらいで渋谷のシェーキーズに集まって、というのが最初ですね。でも1回目からTwitterで参加を募った人をリスト化したり、参加者に冊子を配ったり、なんとなくすぐに打ち解けられるような下準備はしてましたね。
――その頃はどんな話題で盛り上がってたんですか?
なみこ:『アナと雪の女王』が公開された頃だったんで、アナ雪を話したい人はこのテーブル、別のこと話したい人はこのテーブルみたいな感じで、わーっとしゃべって気が合った人だけ二次会行ったりとかして。
――どういうキッカケで運営側に回ったんですか?
なみこ:いつの間にかですね、やる度に参加者が増えていって。これ以上規模が広がるなら改めて会場を借りてやろうという時に、スタッフを増やすという話になって、推薦で私が入って気がついたら副代表になってました。
――気がついたら(笑)。テーブル毎のトークテーマはいつもどんな風に決めてるんですか?
なみこ:毎回、色々な好みの人が来るので、必ずどこかのテーマに引っかかってもらえるようにその月に参加してもらう皆さんに事前アンケートを行っています。話せるテーマがない中でしゃべるって、よっぽど仲良くないとおしゃべりは続かないし。結局、話しに来てるのに話す話題がなかったら来た意味がないと思われるので、アンケート内容も話題の新作から、「間違いないデートムービー選び」のようなちょっとした視点の話まで、色々な話題を用意してますね。そこから票数が多いテーマを中心に決まっていきます。
――あとイベントが始まると、参加者の皆さんがドンドンしゃべるので、壇上は何もしなくていいというか(笑)。
なみこ:多分ですけど映画好きな人は、映画を見た感想を言いたいし語り合いたいという欲求が強いと思うんですよ。映画ブログのようなものはインターネットができたころからあったし、サイトもあるしライターもいるけど、あれって全部一方通行じゃないですか。こういう場をセッティングすれば、ちゃんと集まってくれて顔を見て話す楽しさがある。あと交流して仲良くなって皆で映画を見に行くようになったりとか。
――直接会わないとそうはならないですもんね。
なみこ:戦争映画好きと、ディズニー映画好きが一堂に会する機会ってなかなかないじゃないですか(笑)。でも“映画”という共通点があるからこそ知らない世界を見れたり、幅が広がっていく。皆さんイキイキしてますよ。
好きな映画の押しつけはやめましょう
――今までイベント中にトラブルとかなかったですか?
なみこ:トラブルではないんですけど、コミュニケーションの部分で、自分の話しかしない人とか、好きな映画を押し付けてくる人とか……。
――毎回イベント前に説明してますよね、「好きな映画の押しつけはやめましょう」、「飲み放題だけどお酒はほどほどにしましょう」とか、あれ見て僕もハッとしてます(笑)。
なみこ:初めて来ると、今まで喋りたくても喋れなかったことが一気に解放されるんで、もうバーッとなっちゃう人が結構いて、「皆さんコミュニケーションを取りに来てるから、そこは一方通行にならずに」みたいな話を最初にしてますね。
――なみこさんの本業は、映画と全く関係ない仕事じゃないですか、イチ映画ファンとして、ここまでこの会を続けて来れた理由って、何だと思いますか?
なみこ:去年、代表が私に代替わりした時に、10人いたスタッフが私を含め4人になったんです。そうなるとほぼイチから仕切り直しでこの先どうなるか分からなかったんですけど、残ってくれたメンバーの為にも頑張ろうと思いました。そもそもこのイベント自体がとても面白いし色んな可能性もあるし、誰でもできそうだけどこういう形まではできないだろうし、参加している人の楽しそうな感じとか、やっぱり話すってこと自体、皆楽しくて好きだろうから、っていうのもあってちゃんと続けようと思いました、なくなるよりかはいいでしょ、もったいない(笑)。
――毎月、100人ぐらい集める全員参加のイベントって、ウチでもなかなかないですよ。それはなみこさん始め、運営さんの努力の賜物だと思います。
なみこ:ありがとうございます。代替わりして仕切り直しになって、まずは30人を目標に、次は40人、50人……と、だんだん参加者が増えてきて、以前の会場の広さだと限界を感じていた時にちょうどLOFT9さんと繋がりができたおかげで、私が代表になって半年くらいで参加者100人規模に戻せたのが、とてもいいタイミングでした。これからもよろしくお願いします(笑)。
9/23(土)大阪初開催
――こちらこそですよ! 9/23には遂に大阪(ロフトプラスワン)でも初開催ですね。
なみこ:そうなんですよ、これも私がイベント中に突然言い出したことで、周りのスタッフは「え?」ってなってましたけどね(笑)。今度の大阪が成功したら「全国でやりたい」「日本征服したい」って言ってるんですけど、周りのスタッフは「イベント中にまた何か言い出したぞ?」って感じです(笑)。
――これを読んでる映画好きの方は是非、来て欲しいですよね。男女半々ぐらいで年齢もバラバラで、ただ参加者全員が“映画好き”という、参加要項はそれだけですもんね。
なみこ:毎回、初参加の方も2~3割はいるので一見さんも大歓迎です。参加者の方を見てると、皆さんしゃべりたい欲求がすごくて、本当にこういう場が普段なかったんだなと、ポッカリ空いてたスペースに私たちが入ったんだなと思うぐらい(笑)。やっぱり映画って物語を見て色んな思いを巡らすから、話したいとか伝えたいという思いが絶対出てくるんですよね、あと1つの作品に対しても色々な見方があるからそれを聞くのも面白い、ただでさえジャンルが多い所に色んな人が集まるから、ここは刺激的な場所だと思いますよ。
――ちなみになみこさんの好きな映画って何ですか?
なみこ:毎回好きな映画で書いてるのは「ユー・ガット・メール」です。
――すごいマニアックな映画を言われると思ってました、安心しました(笑)。